【甲子園百景・春】高野連のネット裏改革 お金より「将来の高校野球」

[ 2016年3月30日 08:05 ]

第88回選抜高校野球大会で、バックネット裏に新設された「ドリームシート」で試合を観戦する小中学生

 センバツは4強が出そろい、30日、準決勝が行われる。観客動員も昨年を上回っている中、今年の甲子園、ちょっと景色が違う。

 球審の真後ろ、ネット裏の“特等席”に子供たちがズラリと並んでいる。高野連・八田英二新会長の改革として始まった「甲子園ドリームシート」。中央特別自由席118席を毎試合、全日本軟式野球連盟に所属する小中学生、時に高校生も招待している。

 少子化の影響で少年野球の人口が減少している。特に高知県は毎年100人単位で減り続けていて、昨年は1000人強。このまま行くと大台を割りそうだという。高知新聞の柳原聖司運動部副部長は「高校野球でも部員不足が深刻で、特に郡部に影響が出ています。合同チームが増えそう」と言う。当然、少年野球の人口が減れば、いずれ高校野球にはね返ってくる。甲子園大会を見て、高校に進んでも野球を続けてほしいという高野連の願いでもある。

 「とにかく一度やってみようと。今回は近畿地区の学校ですが、夏は全国に広げていきたい」(竹中雅彦高野連事務局長)。観戦した小学生には「間近で見られて迫力があった」と好評だった。下世話な話になるが、この席の値段は2000円。118席、11日間試合があるから総額259万6000円の収入減となる。「お金より将来の高校野球です」と同事務局長。高校野球が始まって101年。その第一歩が子供たちの歓声だった。(落合紳哉・特別編集委員)

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2016年3月30日のニュース