マエケン宝刀「バックフット・スライダー」でカノK斬り

[ 2016年3月23日 05:30 ]

<ドジャース・マリナーズ>3回2死、カノを見逃しの三振に仕留める前田

オープン戦 ドジャース3―6マリナーズ

(3月21日 グレンデール)
 先輩のお株奪う修正力!ドジャースの前田健太投手(27)が21日(日本時間22日)、マリナーズ戦で岩隈久志投手(34)と日本時代を含めて先発で初対決。初回先頭から3連打で2失点したが、見事に立ち直って以降は打者15人をわずか1安打に抑えた。今オープン戦で初めて投げた左打者の内角低めへの「バックフット・スライダー」が効果的に決まり、5三振を奪った。岩隈は4回1/3を8安打3失点だった。

 2人の背番号18。65球で予定の5回を投げ終えたのは、7歳年下の18番だった。前田は初回先頭からいきなり3連打を浴び2失点。「真っすぐの調子がいいかと思い、調子に乗ってしまった」と振り返ったが、ここからが真骨頂だ。4番クルーズを三ゴロ併殺でピンチをしのぐと、そこからはスイスイ。以降は2回2死から1安打されただけで、3~5回はパーフェクトに抑え込んだ。

 「抑え気味というか、ツーシームなど球を動かして簡単にゴロでアウトにできた。こっちでは有効だし、そういう投手も多い」

 2回以降の12アウト中、半分の6個を内野ゴロで奪った。うち初球が1度、2球目が3度、3球目が1度と、巧みに打ち気を誘った。初めて投げ合った岩隈について「ピッチングがうまい。打たせたり、空振り取る球だったり変化をつけて。打者やカウントで抜いたり、入れるところは入れて」と評したが、尊敬する先輩のお株を奪うようなマウンドさばきだった。

 ただ、三振を狙う場面では意識して奪った。5三振中、左打者から4つで、うち3つが内角低めへのスライダー。メジャーでは「バックフット・スライダー」と呼ばれる左打者の軸足(左足)を目がけて狙う軌道で、今オープン戦で初めて投げた。3回は先頭マルテに続き、2死からカノにも連投し、2ストライク目を空振りで奪い、最後は同じコースで見逃し三振。通算2015安打の強打者が「凄い切れ。いいボールだ」と舌を巻けば、5回先頭で空振り三振のクレベンガーは「バックフットが特に素晴らしかった。真っすぐに見えるが、最後の最後に曲がる」と白旗を揚げた。

 球場を出る通路で岩隈と会い、立ち話をして引き揚げた。「“良かったね”と言ってもらえた。凄く楽しかった。いつかまた投げ合えるように頑張りたい」。メジャーの師と慕う先輩譲りの高い修正能力と投球術、そして広島時代から武器にした宝刀。岩隈の胸を借り、両手でも抱えきれないほどの収穫を手にした。(奥田秀樹通信員)

 ▽バックフット・スライダー バックフットは直訳すれば「後ろ足」。投手から見て、打者の後ろ側にある足(軸足)を目がけて投げることからそう呼ばれる。前足を目がけて投げると変化が早く打者に見極められてしまうが、後ろ足だとより打者のそばで変化するので見極めにくい。高い制球力に加え、横だけでなく、落ちる縦への変化量も求められる。ダルビッシュ(レンジャーズ)も決め球に用いる。

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2016年3月23日のニュース