高木京1年失格処分 自己申告で処分軽減 巨人は契約解除

[ 2016年3月23日 05:30 ]

1年間の失格処分となった高木京

 プロ野球の熊崎勝彦コミッショナー(74)は22日、巨人の高木京介投手(26)を野球賭博に関与したとして1年間の失格処分とし、巨人に制裁金500万円を科す処分を下した。日本野球機構(NPB)の調査委員会から処分案の提出を受けての裁定。巨人は同日付で高木京との契約を解除したと発表した。また、同コミッショナーは野球賭博問題の全容解明へ、自己申告をした場合に情状酌量による処分軽減などの特別措置導入を検討中であるとした。

 野球賭博をやっていた事実は同じ。しかし、昨年11月の笠原元投手ら3選手と高木京の失格処分は「無期」と「1年」で分かれた。熊崎コミッショナーは会見で高木京と巨人への処分内容を粛々と述べた後、処分内容の差を「客観的」に、「公正」との言葉を繰り返しながら、説明した。

 「高木選手の野球賭博への関わりの程度、深さ、期間、回数、その後の対応、といったものを相対的に子細な分析、検討を加えた。先の笠原元選手ら3選手と比較して、客観的に評価してみていきますと、相当な差異が認められることは明らかである」

 処分案を盛り込んだ調査委員会の報告書でも、無期失格処分を受けた3選手との違いが詳細に記載された。賭けた期間や試合数に加え、野球賭博常習者と知りながら関わっていた3選手とは違い、高木京は14年4月末から5月上旬までで、回数や試合数も限定されていたこと。その後は笠原元投手からの賭博の誘いを断ったことなども「相当な差異」の理由とした。

 昨秋の巨人のヒアリングや、その後の調査でも虚偽の証言をしていた点は「もちろん勘案した」とした上で「野球賭博常習者との関係を遮断することを決意し、事情聴取に対して終始一貫して、知り得る限りの話をされている。真しに行ったことを悔いていることも(聴取の中で)伝わってきた」と同コミッショナー。調査協力や野球賭博との決別への「姿勢」が判断に加味された。

 今後はプロ野球界の浄化、野球賭博の全容解明への調査に移行する。熊崎コミッショナーは「真実に基づく自主的申告があった場合、処分について軽い方向で考える、という考え方もある。期限付きの特別的な措置」と情状酌量による処分軽減策も今後検討していくことを明かした。さらに「無期」の野球協約上の解釈にも言及。「無期はその時点で期限を設けないという意味であって、その後は有期にするケースもある。無期でも、1年以上経過した時点でコミッショナーの裁量で有期にできると解釈するのが妥当」とした。「無期=球界復帰消滅」ではなく態度次第で短縮でき、更生への道を残した。

 「全容解明の姿勢、固い考えは、いささかも変わらず、揺るぎのないもの。(調査の)期限を切ることはできない」

 23日には12球団で代表者会議を開く。球界をあげての全容解明と野球賭博根絶への取り組みは、まだ半ばである。(倉橋 憲史)

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