10安打されても…智弁・村上 20年ぶり珍完封

[ 2016年3月21日 08:00 ]

<智弁学園・福井工大福井>開幕戦で完封勝利を挙げた智弁学園・村上

第88回選抜高校野球大会1回戦 智弁学園4―0福井工大福井

(3月20日 甲子園)
 開幕し、1回戦3試合が行われた。開幕ゲームは智弁学園(奈良)のエース右腕・村上頌樹投手(3年)が福井工大福井に10安打されながら4―0で完封勝利。2桁被安打での完封は20年ぶりとなった。センバツ優勝経験校同士の対戦は、鹿児島実が常総学院(茨城)に6―2で逆転勝ち。滋賀学園は桐生第一(群馬)を9―5で下し、春夏通じて甲子園初勝利をマークした。

 智弁学園の村上は、最後の打者を左飛に打ち取るとガッツポーズ。「普段はしないけど勝手に出てしまいました」と胸を張った。4万3000人の大観衆で埋まった開幕試合の重圧をはねのけての完封勝利だった。

 力みから制球が乱れ、初回1死二、三塁のピンチを招いた。4番・北村にもフルカウント。ここで捕手のサインに「初めて」(岡沢捕手)首を振り、直球で空振り三振に仕留めた。6回まで毎回得点圏に走者を背負うなど10安打されたが、強気の投球で最後まで得点を許さなかった。2桁被安打での完封は、96年春の浦和学院・三浦貴(元巨人)以来、20年ぶりだ。

 憧れの先輩を超えたい――。その思いでマウンドに上がった。現巨人の岡本を擁した14年夏の明徳義塾戦で、1年生ながら2/3イニング無失点で甲子園デビュー。だが、その後は精神面のもろさを露呈。昨秋の近畿大会準々決勝で大阪桐蔭に打ち込まれて大敗したときには、小坂将商監督から「1年生から出ているくせに、なんやそれは」と叱り飛ばされて涙を流した。その悔しさをバネに、この日も「打たれても必ず取ってくれる」と仲間を信頼し、マウンドで耐えた。

 1日5食、計8合のご飯を日課にした。練習の合間にも2リットルのタッパーに詰めたご飯を食べ、体重は昨秋から6キロ増えて78キロになり、下半身が安定。肉体的にも成長した。

 OBの岡本と広岡大志(現ヤクルト)からはチームに特製パーカが届いた。一昨年は2回戦で敗退している。「チームのために一戦一戦投げる。岡本さんを超えられるように頑張りたい」と村上。4強入りした77年以来、39年ぶりの春2勝へ、次戦も強気で腕を振る。 (水口 隆博)

 ▼智弁学園・福元(初回1死一、二塁で中越え2点先制二塁打)ピンチの後はチャンスが来ると思っていた。見逃せばボールだと思うけど、真っすぐに(ヤマを)ハリハリだったから体が反応した。

 ▼巨人・岡本(14年度卒)小坂監督が“開幕戦で選手が緊張しないか心配”とおっしゃっていたけど、結果的には完封勝利だったので良い形で勝てて良かったと思います。おめでとうございます。

 ▽智弁学園の14年センバツ 三重との1回戦では、3番・岡本が初回にバックスクリーン左へ豪快な一発。6回にも左翼席に運び、大会個人タイ記録の1試合2本塁打で7―2と快勝した。佐野日大との2回戦は一時3点のビハインドも、大会屈指の左腕・田嶋から8回に5連打を浴びせて追いつき延長戦に。だが9回から救援登板していた岡本が10回にサヨナラ打を許し、4―5で敗退した。

 ≪開幕戦完封は9年ぶり≫智弁学園の村上が開幕戦で完封勝利。開幕戦での完封勝利は07年の佐野日大・出井の大牟田戦(7―0)で記録して以来、9年ぶり。開幕戦の零封勝利は23度目。また、村上は被安打10での完封勝利。センバツでの2桁被安打での完封勝利は96年の浦和学院・三浦が1回戦の東海大仰星戦(9―0)で毎回の10安打を浴びながら完封して以来、20年ぶり。

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