巨人よりもオコエ!初見参東京Dで1番の歓声、御礼タイムリー

[ 2016年3月20日 05:30 ]

<巨・楽>8回2死二塁、東京ドーム初見参のオコエは山口から左前適時打を放つ

オープン戦 楽天9-3巨人

(3月19日 東京D)
 たった1打席で、見る者全てを味方に付けた。楽天のドラフト1位ルーキー・オコエ瑠偉外野手(18=関東第一)が19日、巨人とのオープン戦に途中出場。8回に回った唯一の打席で左前適時打を放った。初の巨人戦、初見参の東京ドームで、巨人ナインの誰よりも大きな歓声を浴びたクリムゾンレッドの背番号9。野球ファンは、25日開幕戦で1軍に名を連ねる「スター」を待っている。

 待っていた。見たかった。8回の楽天の猛攻。4点を奪い、なお2死二塁の場面でオコエに初打席が回った。7回の代走登場ではまだ抑えめだった歓声が、ここで一気にはじけた。鳴りやまない拍手。ホームで戦う巨人の名だたる選手の誰よりも大きなエールに迎えられた18歳が、バットで、その姿で、3万6566人の観衆を魅了した。

 「(声援は)意識せず、とにかく山口さんは凄い投手なので食らいついていこうと必死だった」

 ボール球を見極め、3ボール1ストライクとバッティングカウントに持ち込んだ5球目。外角138キロ直球を叩き、三遊間を破る適時打を放った。最高潮に達したスタンドの興奮。楽天ファンも、巨人ファンも関係なかった。梨田監督も「巨人の選手みたいな声援だったね」と驚いたほど。その中で、オコエは口を真一文字に結んだままだった。「ヒットを打ったら自信より“もっと打席に立ちたい”という気持ちになる」。あくなき向上心が喜びよりも上回った。

 地元東京。マウンドの山口に、成長した姿を見せられた。09年12月。小学6年生だったオコエは、NPB12球団ジュニアトーナメントに出場するジャイアンツジュニアの一員として、川崎市のジャイアンツ球場で練習をしていた。そこに現れたのが山口。大会出場を前に激励を受け、当時、身長が1メートル60にも満たなかった少年は「でかかった」とプロ野球選手の体の大きさに驚がくした。「その時から凄い選手だったけど、こうして対戦できて感激です」。7年の時を経て、球界屈指のリリーバーにヒットという形で“恩返し”した。

 チームのオープン戦首位タイ浮上に貢献した一打。オープン戦打率は・200ながら得点圏では4打数3安打4打点と驚異の勝負強さを誇る。梨田監督は開幕1軍について「21日に最終的に決める」としたが、池山打撃コーチは「1軍切符というより、1軍でレギュラーを獲れるかどうかになってきた」。1軍の戦力として認めた、より踏み込んだ発言だった。

 試合中のベンチでは梨田監督らの前の席に座り、配球などを学ぶ。「もちろん開幕1軍に入りたい。入るための近道は勉強するしかない」。残るオープン戦は20日、21日のDeNAとの2連戦(横浜)のみ。さあ、ラストスパートだ。 (徳原 麗奈)

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