新井復活!今春1号はキングの放物線 昨季7発からの逆襲手応え

[ 2016年3月16日 06:43 ]

<ヤ・広>8回1死、新井が左越えに本塁打を放つ

オープン戦 広島8―1ヤクルト

(3月15日 神宮)
 18回目の開幕に向け、状態は右肩上がりだ。広島・新井貴浩内野手(39)が15日のヤクルト戦(神宮)でオープン戦1号本塁打を記録。衰えない長打力を示し、チームを勝利へ導いた。昨季7本に終わった本塁打を量産し、長距離打者としての原点回帰が今季の目標。有言実行へ、決意を込めた放物線だった。

 ストイックに打撃道を追求する男には珍しく、自画自賛だった。3点リードの8回1死。新井が理想を体現した。

 「今日に限っては、いい形でスイングできた。これを継続できるように、しっかりと練習することが大事」

 ヤクルト5番手の左腕・ペレスのスライダーを強振。打球は左翼席へと美しい放物線を描き、左翼手は途中で打球を追うのをやめた。練習試合を含めた今春の初本塁打。18年目のシーズンに向け、確実に状態を上げてきた。

 内容に納得できる要素があった。初対戦のペレスに1、2球目は150キロに迫る直球、3球目は内角に食い込んでくるスライダーを投じられ、カウント1―2と簡単に追い込まれた。だが、ここからの対応力、そして集中力が違った。

 「追い込まれていたので、しっかりとセンター方向に意識を置く中で、うまく対応することができた。ヘッドが返るのを我慢できた」

 明確な目的意識のもと、外角から入ってくるスライダーに反応。不利な状況から最高の結果を導き出した。

 通算本塁打数は現役4位の287本。05年には43本塁打で本塁打王に輝いた実績を持つが、昨季は2年連続で2桁には届かず、7本塁打に終わった。39歳で迎えるシーズン。大ベテランは長距離砲としての「原点」を追い求め、オフから日々の練習に励んできた。

 「オープン戦とはいえ、打てるに越したことはないからね」

 昨季より指1本分、バットを長く持ってスイングを重ねてきた。努力は形となって表れた。

 緒方監督もこう着状態を打破し、ベンチに活気を呼び寄せた一発を「今日は新井さんに尽きるでしょう。集中力を持って、一振りで決めてくれたね」と大絶賛した。昨季は決定打不足に泣き、4位に終わったカープ。新井が本塁打を量産した先に、25年ぶり悲願の優勝がある。(桜井 克也)

続きを表示

2016年3月16日のニュース