火の球が“進化”球児「気持ちよく」中田&大谷をフライ料理

[ 2016年3月14日 06:00 ]

<神・日>5回を1四球ノーヒットに抑えた藤川

オープン戦 阪神4-0日本ハム

(3月13日 甲子園)
 阪神の藤川球児投手(35)が13日、日本ハムとのオープン戦(甲子園)に先発し、5回無安打無失点と貫禄の投球を披露した。球速は140キロ前後ながら、打者の手元で伸びる先発仕様の“火の玉ストレート”でフライアウトを11個を奪う快投。先発が予想される開幕3戦目の27日中日戦(京セラドーム大阪)へ向け、万全の仕上がりをみせた。

 火の玉ストレートが進化した。球速は130キロ台後半~140キロ台前半。ストッパー時代の150キロ超の剛球はなくても、打たれない。奪三振は1つで、積み上げたフライアウトは11個。藤川が先発仕様の打者の手元で伸びる“魔球”で日本ハム打線を手玉に取った。

 「気持ち良く投げられました。きょうは良い準備ができました。チームが勝つことが1番で、お客さんに喜んで帰ってもらえたと思います」

 アウトの内訳については「捕手との共同作業。たまたまです」と多くを語らなかったが、その投球内容が進化を証明している。初回2死で迎えた大谷は初球の内角高めの直球で三邪飛。4回2死の2度目の対戦でも、カウント1ボール2ストライクから、140キロ高め直球で詰まらせて遊飛に仕留めた。球速を抑えても、上から投げ下ろすバックスピンが効いた球は、打者の予想を上回る伸びを生み、捉えたはずのバットの上っ面に当たる。2打席連続で左飛に打ち取られた中田は「なんか一つ差し込まれる感じ。打ち損じたというか、ほかの選手も差されている打席が多かった。球速より速く感じた。簡単に点を取れる投手ではない」と証言した。

 5回を投げきって許した走者は2回の近藤への四球のみ。打たせて取る投球で55球と球数も抑えた。前回の6日巨人戦(甲子園)で失点した立ち上がりも3人で乗り切った。

 ただ、収穫いっぱいのマウンドでは思わぬトラブルにも見舞われていた。試合後の会見で「3回くらいからスタンドが急にまぶしくなった。少し(頭痛がして)しんどいですね」と明かした。ファンのカメラのフラッシュか、それともレーザーポインター照射など妨害なのか。「どうでしょう。分かりません。対策はとらないといけない」。そんな状況でも結果を出した。

 金本監督も先発にモデルチェンジした藤川を評価した。「球自体はよかったように思った。真っすぐの走りね。器用に変化球も使ってね。真っすぐで差し込んでいる印象は、確かにあったよね。思ったより最後にピュッと来ているというね」。

 登板予定の開幕3戦目、27日の中日戦へ、不安材料は見当たらない。それでも藤川が満足することはない。「(球数が少ない)こういう日もあるだろうし、球数が必要な時もあると思う。いろんなことを考えてね。いろんな球種を試してバッターを打ち取りたい」。35歳の向上心は尽きることがない。(湯澤 涼)

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