2球で2段モーション指摘も…日本新薬・西川“強心臓”完投 初V貢献

[ 2016年3月14日 05:30 ]

<新日鉄住金かずさマジック・日本新薬>3安打1失点で完投勝利の日本新薬・西川

東京スポニチ大会決勝 日本新薬3―1新日鉄住金かずさマジック

(3月13日 神宮)
 準決勝、決勝が13日に行われ、日本新薬が初優勝を飾った。新日鉄住金かずさマジックとの決勝では、新人の西川大地投手(21)が3安打1失点で完投勝利。巨人ドラフト1位の桜井俊貴投手(22)と立命大で二枚看板を張った右腕は、大会2勝で新人賞に輝いた。最高殊勲選手賞は登板2試合完封の榎田宏樹投手(27)が受賞。日本新薬は今秋の日本選手権大会出場権を得た。

 最後の打者を空振り三振に仕留めると、西川は右拳を握りしめた。駆け寄ってくる同僚を、バンザイしながら受け止める。堂々の完投勝利。「決勝だからと気負っても仕方ない。新人らしく、自分らしく投げようと思った。率直にうれしい」と喜びをかみしめた。

 2点の援護をもらって迎えた初回、先頭打者へ2球目を投じた際に球審から2段モーションと指摘された。初めての経験…。投球フォームを崩しかけ、1点を失った。それでも「なんとかクイック投法に切り替えて」活路を見いだし、得意のカットボールとスプリットを操って4回以降は無安打。新人とは思えない強心臓ぶりを、岩橋良知監督は「プレッシャーがかかったと思うけど、よく頑張った」と称えた。

 立命大時代は、巨人入りした桜井と投手陣の両翼を担った。関西学生リーグ通算15勝は桜井の28勝には及ばないが、2年秋に0・68、4年春に0・73で防御率1位に輝き、同じく0点台だった桜井を2位に従えた。2年秋には、のちに京大初のプロ野球選手となる田中(現ロッテ)との投げ合いで17回2/3を零封した。

 最速145キロの実力を持ちながら、これまで桜井の話になると「僕は僕、あいつはあいつ」という姿勢を貫いていた。ただ、昨秋に桜井がドラフト指名された後には、こう約束した。「2年後、プロでまた一緒にプレーしよう」――。社会人球界で新たなスタートを切りながら「プロは目指したい場所」と照準を定める。

 今春、日本新薬には西川ら有力新人が7人加入。昨年の新人と合わせて14人が入れ替わった。自前の球場はないが、徹底した声出しと豊富な練習量を誇る。「キャンプのランニングは精神的にも肉体的にもかなりきつかった」と西川。厳しい練習を乗り越え、4番・中ら、他の新戦力も起用に応えて優勝を手繰り寄せた。社会人シーズンの幕開けを飾ったニューヒーローは「元気を出して泥くさくやる。会社を背負っていることを感じて頑張っていきたい」と先をにらんだ。 (松井 いつき)

 ▼巨人・桜井(西川好投を聞き)絶対いい投球をすると思っていた。お互い、いい刺激をしあって成長できたらいい。

 ◆西川 大地(にしがわ・だいち)1994年(平6)3月23日、高知県生まれの21歳。小4から野球を始める。高知中3年夏に全国制覇。高知高3年夏の高知大会で準優勝。立命大進学後は1年秋からリーグ戦に登板し、3、4年時に全日本大学選手権出場。家族は両親と姉。1メートル82、84キロ。右投げ右打ち。

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