打者に来た!と思わせて…マー君 また快投!新チェンジアップ使える

[ 2016年3月13日 05:30 ]

<ヤンキース・オリオールズ>試合前のブルペンでチェンジアップを投げるヤンキース・田中

オープン戦 ヤンキース7―1オリオールズ

(3月11日 タンパ)
 ヤンキースの田中将大投手(27)は11日(日本時間12日)、今季2度目のオープン戦登板となるオリオールズ戦に先発し、3回を1安打無失点と好投。昨季までほとんど使わなかったチェンジアップを改良し、投球の幅を広げるなど、2年連続の開幕投手に向けて順調な仕上がりを見せた。また、マリナーズの岩隈久志投手(34)もジャイアンツ戦で3回を1安打無失点。米国の「3・11」に元楽天の2人が、そろってオープン戦初勝利を挙げた。

 昨秋のプレミア12でMVPを獲得し、メジャーに移籍した金賢洙(キム・ヒョンス)のタイミングを完全に狂わせた。2回無死、田中が初球に投じたのはチェンジアップ。相手の狙いを外し、ボテボテのゴロに打ち取った。二塁手のカストロが打球をはじき、当初は失策と判定されたプレーはこの日唯一の安打に訂正された。だが「幅が広がれば」と今キャンプで取り組む「新球」が狙い通りの軌道を描いた。

 昨季までチェンジアップはスプリットの調子が悪いときに代用してきた球。シーズンで全投球に占める割合は1%程度だった。今年は「使えないなら使わない」というテスト段階だが、これまでのツーシームの握りから「直球と思ってスピードが落ちている方がいい」とフォーシームの握りに改良した。

 その狙いは――。落差は求めず、打者に直球が来たと思わせて球が手元に来ない「奥行き」の利用だ。従来のツーシームの握りだと、ややシュート気味の軌道になるが、新型チェンジアップは直球の軌道により近いので、タイミングを外しやすい。「そんなに試す場面はないかも」としながらも、2試合連続で試投して精度向上に取り組む。

 今キャンプでブルペン投球を含め、正捕手マキャンと初めてコンビを組んだ試合。シーズンに備えての配球にも手応えをつかんだ。初回、3番のライモールドには、右打者の内角から入る「フロントドア」のスライダーで投ゴロに仕留めた。「そこはもちろんシーズンでも使っていくし、ツーシームと(ストライクゾーンに)戻ってくるのがあれば(打者は)迷うと思う」とうなずいた。

 米国時間ながら東日本大震災後、田中が「3・11」に登板するのは初めて。その日に、3回無失点で今季初白星がついた。今オープン戦は5回を投げて無失点。右肘の骨片除去手術明けの不安はみじんも感じさせない。それでも相手の主力が欠場した試合での好投に「(納得した球は)ほぼない。結果としてはいいけど、追い求めているのはそこではない」と言い切った。高みを目指す右腕の向上心は果てしない。(タンパ・東尾 洋樹)

 ▽チェンジアップの握り 大きく分けて2つあり、フォーシームの握りとツーシームの握り。後者の方がムーブメント(動き)が大きくなる。メジャーで使い手として有名だったトレバー・ホフマン、グレグ・マダックス、トム・グラビンらはこの握り。一方、前者は、変化よりもタイミングを外すことに主眼を置いており、オリックスの金子らがこの握り。親指は中指と薬指の真下に置く場合と、人さし指とOKをつくるように握る「サークルチェンジ」がある。

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