釜石・菊池主将 3・11体験語った「あんなに家族に会いたいと…」

[ 2016年3月11日 05:30 ]

自身の被災体験を語る釜石の菊池主将

 第88回選抜高校野球大会(20日から12日間・甲子園)の組み合わせ抽選会は11日午前9時から、大阪市北区の毎日新聞大阪本社オーバルホールで行われる。10日は出場全32校の主将が交流する「キャプテントーク」を同ホールで開催。11日で発生から5年を迎える東日本大震災で甚大な被害を受けた釜石の菊池智哉主将(2年)は自身の被災体験を語り、全力プレーで被災地を元気づけ、全国に感謝の思いを届けることを誓った。

 震災から5年を迎える前日。釜石の菊池智主将は、故郷を襲った未曽有の震災の体験をしみじみと振り返った。

 「住んでいた町一面が黒い海水と大量のがれきで埋まりました。あんな思いだけは二度としたくないと今でも強く思う」

 卒業を控えた小学6年時、校庭で被災した。家族の安否が確認できないまま、学校で夜を明かした。「物凄い絶望感と不安に襲われた。あんなに家族に会いたいと思ったことはありません」。翌日、家族と無事に再会したが生活は激変した。

 ライフラインは1カ月ほど途絶え、ストレスで体重は10キロも減った。一度は野球を続けることを諦めたが、両親から「続けなさい」と背中を押され、先輩が野球道具を恵んでくれた。「両親や先輩の支え、何より全国からの支援がなければ今、私がここにいることはない」と心から感謝する。

 人生で一番感動したのは、13年に「楽天が日本一になったとき」だ。東北拠点のチームから多くの勇気をもらい「次は自分たちがそういう存在になれれば。被災地の方々へ元気を与えられるよう、全国の方々へ感謝を届けられるように、全力でひたむきなプレーをしたい」と力強く語った。 (青木 貴紀)

 ▽抽選方法 同一県から2校出場する青森、福井、兵庫、香川、高知は決勝まで、同じ地区の出場校は少なくとも準々決勝まで対戦しないように振り分けられる。この抽選で決まったトーナメントで決勝まで戦い、再抽選は行わない。21世紀枠の3校は、釜石(岩手)が東北地区、長田(兵庫)が近畿地区、小豆島(香川)が四国地区に入る。開会式の選手宣誓は32校の主将全員による抽選で決定する。

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2016年3月11日のニュース