NPB調査委 巨人全員聴取も 焦点は他の関与者の有無

[ 2016年3月11日 05:30 ]

巨人・山岸取締役連盟担当(左)から告発書を受け取るNPBの熊崎コミッショナー

 巨人は10日、高木京介投手(26)が野球賭博に関与したとして、野球協約の規定に基づき熊崎勝彦コミッショナー(74)に告発した。都内の日本野球機構(NPB)で告発書を渡された同コミッショナーはNPBの調査委員会に調査を指示。調査委の作成する処分案を基に後日、裁定を下すが、調査委による巨人の全選手、首脳陣、スタッフを対象とした聞き取り調査を行う可能性も示唆するなど、野球賭博の全容解明に向けた固い決意を示した。

 午後1時44分。巨人の山岸均球団取締役連盟担当から告発書を受け取った熊崎コミッショナーは50人近い報道陣に向け、強い言葉で決意を述べた。

 「有害行為等の不正を徹底的にあぶり出す。野球界の健全なる発展、野球を支えてくださっている野球ファンの方々の信頼に応えるためにも、断固とした決意で調査をしていただく旨を調査委員会にも伝えた」

 東京地検特捜部長などを歴任し「落としの熊崎」の異名を取った同コミッショナー。しかし、徹底究明を期した昨年10月の巨人3投手の野球賭博問題に絡んで「4人目」の高木京も発覚した。野球界に暗い影を落とす賭博問題の全容解明に向け、「高木選手にかかる案件自体は現時点においては、そんなに長くかからないと考える。しかし、全容をしっかりと解明していくためにはある程度の期間を要する」と語った。今後は高木京の事案の解明に加え、他に賭博をした選手がいないかが、調査の焦点となる。

 前回の調査委の調査では福田、笠原、松本竜の当事者3投手のほか、巨人のコーチら3人や3選手を参考聴取したが、今回はさらに徹底した調査を行う。巨人は昨年10月に首脳陣、選手、スタッフの全てに聞き取り調査を行ったが、高木京の関与を見落とす結果になった。今回は調査委として「巨人の首脳陣、選手、スタッフに対し、ヒアリングを行うのか」の問いに、熊崎コミッショナーは「当然、調査委員会は、それも視野に限りなく徹底した調査をすると信じている」と語気を強めた。9日には12球団に再調査を指示している。調査委の調査の過程で、他球団にも広がりをみせることも考えられる。

 任意での調査で成果を上げるには賭博に関わり、高木京が「凄く怖い」と恐れた飲食店経営者B氏と仲介した笠原元投手の事情聴取は不可欠だ。「野球界浄化や全容を解明するためにも協力、事情聴取に応じていただきたい」。前回の調査で非協力的だったB氏の協力を得るために「合法的で柔軟な対応の仕方も視野に入れながら検討し、対処していく」と続けた。

 「また(賭博が)発覚したことについては、私にとっては痛恨の極みであり、今後、野球界が健全な発展をするために、断固としてこういったことはあってはならない」。捜査権のない中で、どこまで解明できるのか。「負の連鎖」を断ち切らなければ、プロ野球界の信頼は回復できない。 (倉橋 憲史)

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