坂口開幕1番中堅当確 ツバメ打線唯一の“穴”埋めた

[ 2016年3月10日 05:30 ]

<オ・ヤ>1回1死一塁、二盗を決めた坂口は送球が乱れる間に三塁に進む

オープン戦 ヤクルト3―2オリックス

(3月9日 京セラドーム)
 古巣相手のマルチで決めた!ヤクルト・坂口智隆外野手(31)が9日、オリックスとのオープン戦で2安打をマーク。エースの金子千尋投手(32)から中前打を放つなど好調をキープし、打率を・407に上げた。真中満監督(45)は、昨季固定できなかった「1番・中堅」として太鼓判。かつての最多安打男が、25日の巨人との開幕戦(東京ドーム)でリードオフマンの座に当確ランプをともした。

 オリックスファンから「グッチー」の声援が飛ぶ。ツバメのユニホームを身にまとった坂口が、昨年までの本拠・京セラドーム大阪で躍動した。

 初回の第1打席。マウンドにいたのは長年、ともに主力として戦った金子。「球界を代表する投手なので、この打席でアピールできたらいいなと思った」。144キロ直球を中前にはじき返す。すかさず、3番・山田の打席で二盗に成功した。6回は2番手・近藤一のチェンジアップを右前に運ぶマルチ安打。リードオフマンの働きだった。

 昨季はわずか36試合の出場で、2軍暮らしが長かった。オフに出場機会を求め、自由契約を申し入れて退団。しかし、11年間在籍した球団への愛着は強く、ファンにグラウンドであいさつができなかったのが心残りだった。それだけに「元気な姿を見せて喜んでいただければと思った。感謝の気持ちに受け止めてもらえれば」と振り返った。試合前にはかつての同僚と談笑。「(ビジターの)ロッカーの使い方が分からない」と苦笑いを浮かべたが、試合では11年にパ最多安打を獲得した頃のようなバットコントロールを見せた。

 オープン戦打率を・407とし、「1番・中堅」の座も当確ランプがともった。強力打線でリーグ優勝した昨季、唯一固定できなかったポジション。結果を出し続ける姿に、真中監督も「今のままなら(中堅は)坂口だと思う」と評価した。指揮官への恩返しの気持ちは強い。浪人も覚悟していた昨オフ。実は西武が獲得に熱心だった。金銭面での条件もヤクルトと差がない。球場、相手のデータも体に叩き込まれているパ・リーグの方が適応しやすかったが、真中監督から連絡を受け心が揺さぶられた。

 具体的な目標は口にせず、オリックスでの実績も「過去のことですから」と多くを語らない。帰りのバスに乗り込む際、「1番・中堅」への思いを聞かれると「打順にこだわっていない。試合に出られればいいです」。真っさらな気持ちで再び輝きを取り戻す。 (平尾 類)

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2016年3月10日のニュース