マエケン2回0封デビュー「ボールとマウンドへの不安なくなった」

[ 2016年3月7日 05:30 ]

<ドジャース・ダイヤモンドバックス>オープン戦初登板で2回を1安打無失点と好投した前田

オープン戦 ドジャース7―2ダイヤモンドバックス

(3月5日 グレンデール)
 圧巻のデビューだ。広島からドジャースに移籍した前田健太投手(27)が5日(日本時間6日)、ダイヤモンドバックス戦でオープン戦に初登板。2回28球を投げ、1安打無失点、2奪三振と好投した。延べ7人の打者に初球は全てストライク。先発3番手として開幕3戦目の4月6日(同7日)パドレス戦での公式戦デビューが濃厚な右腕は、持ち前の制球力をメジャーの舞台でも存分に発揮し、その実力をアピールした。

 予定通りの2回を投げてベンチに戻った前田に上機嫌のデーブ・ロバーツ監督からジョークが飛んだ。「投げ足りなかったら、もう1回いくか?」。わずか28球。無四球で3ボールもなく、ストライク率は実に70%近かった。持ち前の制球力を見せつけ、最速93マイル(約150キロ)を計測した直球にツーシーム、スライダー、チェンジアップ、カーブを自在に操った。

 「全てのボールをコントロールできたのが一番よかった。投手有利のカウントで勝負できた」。初回、先頭アーメッドを内外角への直球で追い込み、宝刀を抜いた。曲がりの小さいスライダー、大きいスライダーと続けて右飛。2回は昨季17本塁打の4番ペラルタをカーブで一ゴロに封じた。スライダーで見逃し三振を喫した6番ドゥルーリーは「似ている投手は岩隈。全ての球種でストライクを投げられる」と驚き、ロバーツ監督は「少ない球数で無駄なく効率的な投球だった。(相手打線は)だいぶ幻惑されていた」と評した。

 硬いマウンド、滑りやすいメジャー球、打球が飛びやすいとされる空気の乾燥。いずれも苦にせず、「コース、コースを狙いながら投げていきたいと思っていて、きょうはそれができた。ボールとマウンドに関しての不安はなくなったというのが正直なところ」と胸を張った。同じく滑りやすい公式球を使った13年の第3回WBCでは3試合計15回を1失点に抑え、ベストナインに選出された。同い年のライバルで大会中に侍ジャパンのエースの座を奪われた田中(ヤンキース)を「先に行かれた」と悔しがらせた適応能力がある。

 ド軍は最近、先発4番手だった左腕アンダーソンが椎間板ヘルニアにより長期離脱が決定。5番手候補の柳賢振も左肩の違和感で復帰が遅れるなど、懸念材料が続いていた。前田は先発3番手として期待され、快投を見届けたスタン・カステン球団社長は「とても励まされた。我々の未来について楽観的にさせてくれた」と8年契約を結んだ日本人右腕の好スタートを手放しで喜んだ。

 アップ中に行った「マエケン体操」。だが、登板直前には儀式を封印してマウンドに向かった。初回、表の攻撃が併殺で終わり時間がなかったことに加え「やらずに一回いってみようかなと」と試み、スムーズに投球できた。降板後、ブルペンに向かう際には、立ち上がった観客から拍手を送られ「日本と違う球場の雰囲気。応援スタイルも違う。メジャーで投げているなという感じがした」と言う。自らも堪能した初マウンド。1メートル82、81キロとメジャーの中では細身の体格で大男たちを牛耳り、衝撃を与えた。(奥田 秀樹通信員)

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