“マサVSマサ”石川 お手本と引退試合で投げ合い「縁感じた」

[ 2016年3月6日 08:42 ]

<中・ヤ>先発し3回を4安打1失点と好投した石川

オープン戦 ヤクルト11―3中日

(3月5日 ナゴヤD)
 ヤクルト・石川雅規投手(36)が中日とのオープン戦で先発し、3回を4安打1失点。ナゴヤドームで行われた尊敬する山本昌投手(50)の引退試合で好投を見せた。相手の主砲・ビシエドを宝刀シンカーで2打席連続の空振り三振。同じ技巧派左腕で、制球力や緩急を駆使して勝ち続ける投球スタイルは山本昌と共通する。愛称も同じ「マサ」。背中を追い続けた14歳下の石川はユニホームを脱いだ大先輩の思いを引き継ぐ。

 開幕に向けた調整登板ではない。石川にとって特別な試合だった。

 「昌さんの引退試合で投げられるのを縁に感じた。しっかりした投球をしようと思った。今持っているものを出せたかなと思います」

 毎年2桁勝利を挙げる投手は要所で制球ミスしない。石川の凄みが凝縮された投球だった。3回に1点を奪われ、なおも2死一、三塁。新外国人ビシエドをカットボールで追い込み、5球連続で宝刀シンカーを投じた。全て低めのボール球。フルカウントになっても投げ続け、最後は2打席連続の空振り三振を奪った。捕手の西田も「シンカーをマークしていた感じがする。でもサインを出したところに投げてくれる。凄い」とうなった。

 直球は130キロ台。お世辞にも速いと言えないが、シンカー、カーブ、カットボール、スライダー、シュート、チェンジアップと多彩な変化球と制球力で打者を打ち取る。背中を追い続けてきたお手本が、同じ技巧派左腕の山本昌だった。

 10年に鳥取で合同自主トレを行って以来連絡を取り合うようになり、50歳まで現役を続けたレジェンドから投球術などを貪欲に吸収した。登板後にアイシングをしないのを聞くと自身も3年前から取り入れ、左肩が重くなる症状が消えた。共通するのは投球スタイルだけではない。「昌さんは野球が好きという気持ちが伝わってくる。僕も大好きな気持ちを持ち続けたい」。師匠に負けない探求心を持ち、このオフから手元で動く直球の習得にも着手している。

 プロ14年間で11度の2桁勝利をマーク。通算219勝の山本昌を上回るペースで勝っている。1メートル67と小柄な体だが、打者に的を絞らせない投球術を誇る左腕は報道陣も翻ろうした。2回に森野を二ゴロに仕留めた121キロの球種を聞かれ「マウンドでつまずいてしまった直球です」。親しみやすいキャラクターも大黒柱の大きな魅力だ。 (平尾 類)

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2016年3月6日のニュース