イチ レジェンド特権初安打 指揮官粋な計らいで“延長”

[ 2016年3月3日 05:30 ]

マイアミ大との練習試合で安打を放つマーリンズのイチロー

 貫禄のスタートだ。マーリンズのイチロー外野手(42)が1日(日本時間2日)、キャンプ初の実戦となるマイアミ大との練習試合に「7番・DH」で出場。4回の第2打席で右前打を放ち、2016年の「初安打」を記録した。当初は3回までに先発野手は全員が交代予定だったが、ドン・マッティングリー監督(54)はイチローのみ継続して起用。「レジェンド」への計らいで生まれた2打席目で、きっちり快音を残した。

 期待は決して裏切らない。4回1死で迎えた第2打席。イチローは、5球目の甘く入ったツーシームを痛烈に引っ張った。打球はあっという間に右前へ。キャンプ地ジュピターの本球場ロジャー・ディーン・スタジアムに詰め掛けた2023人のファンを魅了した。背番号51に大きな拍手を浴びながら、代走ケリーと交代してベンチに退いた。

 心を奪われたのは観客だけではなかった。「捕手を見てストライクを投げようと視線を上げたら“ワオ、イチローだ。将来の殿堂入り選手だ”と思ってしまった」。先発して4イニングを投げたマイアミ大の右腕ピメンテルは地元紙「マイアミ・ヘラルド」に語った。150キロを超える直球を投げ、大リーガー予備軍として将来を有望視されている1年生が、レジェンドとの対戦に感激した。

 2回。チームで一番の声援を受けて実戦初打席に臨んだイチローは、2ボール1ストライクからの4球目を叩いて一ゴロに倒れた。当初、マッティングリー監督はスタメンの野手を全員、3回までに代える予定だった。新任で歴代最多762本塁打を誇るバリー・ボンズ打撃コーチはかねて「イチローは実績から周囲に気を使わせる権利を持っている」と話している。レジェンドのみに許された特権に、結果で応えてみせた。チーム全体でも10安打5得点と打線が活発。指揮官は「技術うんぬんを言う時期ではない」と前置きしつつ、「全体的に良い感じだったと思う」と評した。

 イチローがキャンプ初実戦で初安打は、ヤンキース時代の13年以来3年ぶり。当時「久しぶりのゲームで(感覚などが)気持ち悪かったですね」「毎年のことだが、最初は(打席で)目を使おうとして反応が一瞬遅れる」などと話したように、今はあくまで調整段階だ。日米のファンの目がメジャー3000安打到達へと注がれるシーズン。「65」からのカウントダウンに向け、感覚を研ぎ澄ませていく。

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2016年3月3日のニュース