清原容疑者 真の社会復帰を目指すなら最後尾から並び直す覚悟を

[ 2016年2月23日 08:00 ]

清原容疑者

 大リーグ・レンジャーズのダルビッシュが18日、覚せい剤所持容疑で逮捕された元プロ野球選手の清原和博容疑者について「日本もセカンドチャンスを持てる社会にならないと」と発言した。伝聞なのでニュアンスや発言前後の脈略も分からないので批判するのはフェアではない。ただダルビッシュは大きな影響力を持つ野球選手なので、誤解を与える主張が気になった。

 まず、日本は犯罪者であってもセカンドチャンスを与える社会である。これまでの凶悪犯罪者も社会復帰しているではないか。むしろ被害者や被害家族の人権の方がないがしろにされている気がする。

 ダルビッシュは大リーグでは「一度薬物に手を出してもチャンスをもらっている」という。結構ではないか。日本球界もチャンスを与えるべきだ。だが、プロはそれほど甘い世界ではない。法律さえ守れない弱い意志の持ち主がトップに君臨し続けられるほど人材が不足してはいない。覚せい剤などに逃げず、地道に指導者の勉強をして理論を身につけた者がユニホームを着てグラウンドに立っている。彼らのチャンスを減らす権利は誰にもない。

 日本は一度薬物に手を出した人間に門戸を閉ざすような社会ではない。ただ、すぐに列の先頭に戻れると思うなら、それは社会をなめすぎではないか。誰もがあふれる才能を与えられているわけではない。努力して列の最後尾からはい上がった善良な人々がいることを忘れてはいけない。そんな人たちの存在をないがしろにする社会にだけはしてはいけない。セカンドチャンス?素晴らしいではないか。ただ、もう一度最後尾から並び直す覚悟を持ってこそ、真の社会復帰なのではないだろうか。(記者コラム・君島 圭介)

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2016年2月23日のニュース