投手専念推しのはずが…張本氏 打者・大谷に喝!まさかの打撃指導

[ 2016年2月19日 09:10 ]

張本氏(右)、日本代表・小久保監督(中央)が見つめる中、快音を響かせる大谷

 日本ハム・大谷翔平投手(21)が18日、沖縄・名護の2次キャンプで、視察に訪れた張本勲氏(75=スポニチ本紙評論家)から突然の打撃指導を受けた。ランチ特打では60スイングして柵越え4本。見守った張本氏から安定性に欠ける点を指摘され、特打を終えた直後に内角の打ち方についてマンツーマンで教えを受けた。二刀流に対し、一貫して投手専念を勧める球界のご意見番から「打者・大谷」へ送られた熱いアドバイスの成果が注目される。

 全く予想しなかったシーンだ。ランチ特打を終えた大谷が、バット2本を持ったまま張本氏の元へ。インタビューをするものだと思われていたのが、三塁ベンチ前で異例のマンツーマン指導が始まった。

 「今のままの打ち方では近めの球(内角)が打ってもファウルになってしまう」、「もっとバットを縦に使わないと。応用しないと駄目だ」。おもむろにバットを手に取ると、実際にスイングもしてみせた。熱く語る張本氏の言葉に大谷は明るい表情でうなずく。時間にして4分弱。評論家が選手に声を掛けるのはキャンプで見慣れた光景ながら、本来ならばあり得ないシーンだった。

 大谷がプロ入りした13年以来、張本氏は「あれだけの素材。絶対に投手に専念すべき」と言い続けてきた。その主張は大谷の投手としての成長に比例して強まり、昨年12月11日のバッテリー賞の授賞式だ。「100年に一人の投手。投手一本なら25勝できる」という張本氏の「喝!」に、大谷が苦笑いして「(来季も二刀流を)やります」と答える場面があった。そこまで投手専念を求めてきた球界のご意見番による打撃指導。それは二刀流容認ではない。日本プロ野球史上唯一の3000安打を達成した大打者として、今の「打者・大谷」の状態には黙っていられなかったのだ。

 特打では60スイングで柵越え4本。打撃ケージ裏で見た張本氏は「安定性がない」と分析し、(1)軸足(左足)が打った後に動く。(2)バットを握る指が遊んでいる。(3)フォロースルーの際に右手が右肩より下がる、の3点を指摘した。「二刀流だからなのか、まだまだ振り込めていないというのが分かる」。その上で内角の打ち方について指導に及んだ。「近い球も真ん中の球のように打っている。もっとバットのヘッドを立てて、縦振りにしないと。今のままでは詰まるか、ファウルになってしまう」。こうした内角の打ち方は打撃の応用の部分だという。

 大谷は「(張本氏からは)“いいんじゃないか”と言われた。(内角打ちは)試しながらだと思います」と言い、二刀流に否定的な球界OBからのアドバイスには「表向きと直接では違いますから」と続けた。仰天の打撃指導。大打者からのアドバイスは「打者・大谷」にとって、金言となるのは確かだろう。(秋村 誠人)

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