相手主砲を封じるため…実松がゴジラコーチから得た“財産”

[ 2016年2月17日 08:45 ]

松井秀喜氏からリードにつながるアドバイスを受けたという巨人・実松

 OBの松井秀喜氏が臨時コーチとして、2年ぶりに本格的な指導にあたった巨人の宮崎春季キャンプ。ゴジラコーチは、キャンプ初日から最終日の14日まで精力的に動いた。選手の方も積極的に質問。1軍から3軍まで、日米通算507本塁打の打撃理論を吸収しようと意欲的だった。

 一方、少し違った形でレジェンドと向き合ったのが35歳のベテラン捕手・実松だ。2月3日。ひむかスタジアムの打撃ケージ横で約15分間、質問攻めにし、松井コーチも丁寧に応じた。詳しい内容について実松は「ご想像にお任せします」と含み笑い。はぐらかしつつも「松井さんがシーズン中に対戦して、どんな投手が嫌だったか聞きたかった」と、リードにつながるアドバイスを求めたことを明かした。相手チームの主砲を封じるヒントを懸命に探していた。

 松井コーチの日米通算での打席数は10572。これを上回るのは、日本選手でイチロー(マーリンズ=14199)、野村克也(元西武=11970)、王貞治(元巨人=11866)、張本勲(元ロッテ・本紙評論家=11122)、衣笠祥雄(元広島=10634)の5人だけだ。あらゆるタイプの投手と対じした「引き出し」の多さは言うまでもない。

 キャンプイン前日、1月31日の全体ミーティング。松井コーチはナインに「バッテリーの方も、バッターは何が嫌なのかとかいうことがあれば、またお話できればいいなと思っております」と語りかけた。昨年からヤンキースのGM特別アドバイザーとしてマイナー選手の指導に励む中で、打撃にとどまらず、さまざまな角度からの質問を歓迎。いち早く行動に移したのが実松だった。

 チームでは阿部が捕手に復帰。3年目の小林は目の色を変え、39歳でチーム最年長となった相川も背水の陣で臨んでいる。自身も「勝負の年」と位置付ける今季、キャンプは2軍スタートとなった実松だが「(アドバイスは)すぐに生かせなくても、聞いておけば財産になりますから」と焦りは見えない。阿部の2学年下ながらプロ入りは2年早く、18年目を迎えた「松坂世代」。抜群の安定感を誇るリードに松井コーチの「引き出し」を加え、来るべき出番に備える。(記者コラム・大林 幹雄)

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2016年2月17日のニュース