長嶋さん 岡本に“吉兆”お触り 坂本、長野、菅野も飛躍した神の手

[ 2016年2月14日 05:30 ]

岡本(右)の右手をつかんでテークバックの位置を指導する長嶋終身名誉監督

 ミスター直伝の内角打ちだ。巨人の岡本和真内野手(19)が13日、キャンプ地の宮崎を訪問した長嶋茂雄終身名誉監督(79)から初指導を受けた。内角球の克服へ、体の後ろに入りすぎていたテークバックを浅く修正された。08年の坂本勇人内野手(27)以来の10代開幕スタメンを目指す未来の4番候補が、「ホットコーナー」の大先輩から金言を授かった。

 背後から名前を呼ばれた。「岡本!」。隣のケージ裏にいる長嶋氏の声だった。カーブマシンを打ち込んでいた岡本が急いで駆け寄る。いきなり右手を左手でつかまれ、テークバックの方向に引っ張られた。約1分間の熱血指導が始まった。

 「動きの無駄をなくすように言われました。(体の後ろにバットが)入りすぎているから、インコースに弱いと」。フリー打撃とマシン打撃を合わせて30分の間に、身ぶり手ぶりでバットの軌道を実演された。

 長嶋氏 アウトコースは非常に良い形で(バットが)出ていましたけど。インコースは良かったり、あるいは悪かったり。そういうバッティングをしていましたよね。

 内角球の克服は、どんな打者にも難しい。岡本は深く考えながら「そこまで考えていなかったけど、(内角は)多少バットが出にくかった。きれいな打球がいかないと思っていた」とつぶやいた。だが、テークバックを浅くすることでスイングがスムーズになり、内角球に対応できた。高卒1年目の昨季は17試合出場で打率・214、1本塁打。「逆方向への打球は持ち味」と外角球の対処には自信があり、内角球のさばきを磨けば飛躍につながる。

 2軍スタートだった昨春キャンプは声を掛けられただけで、指導を受けるのは今回が初。「どんなバットを使っているの?」と聞かれてバットを手渡すと、右肩に触れられた。巨人では長嶋氏に触れられた若手選手は大成するという「ミスター神話」がある。長野、坂本が好例だが「実力があったから活躍された。僕は実力がないので関係ないです」と気を引き締めた。

 岡本は96年生まれ。同じ三塁手として巨人の黄金時代を支えた現役時代は知らないが、「偉大な方」と尊敬する。午前9時50分。長嶋氏が木の花ドームに到着すると、それまで降っていた雨がやみ、一瞬だけ晴れ間が広がった。円陣で「さあ!行こう!」と、声を上げるとチームが一体になった。19歳は、その偉大さを痛いほど肌で感じた。

 背番号「38」は、かつて「ホットコーナー」を守り20日に80歳の傘寿を迎える長嶋氏の「3」と、原前監督の現役時代の「8」が由来だ。「(助言は)凄くありがたい。僕にとってプラスになった。裏切らないようにしっかり頑張りたい」。08年の坂本以来、8年ぶりの10代開幕スタメンで熱い指導に応える。 (神田 佑)

 ≪長嶋氏主な巨人視察とボディータッチ≫

 ☆08年2月24日 オープン戦・ソフトバンク戦で高卒2年目の坂本が4打数2安打。試合前打撃練習では、坂本の体を触る場面も=写真。「19歳ですが最高の打撃」と絶賛。

 ☆10年2月21日 ドラフト1位・長野に対し、左腕や胸を触って「体が強そうだな」。ソフトバンクとの練習試合で3打数1安打に「守備でも打撃でも試合の中でアジャストする能力が高い」。

 ☆13年2月10日 ドラフト1位の菅野の46球のブルペン投球に熱視線を送り握手。「制球がいい。12、13勝はするんじゃないか」と大絶賛。

 ☆14年2月11日 紅白戦を視察し、ドラフト1位の小林について「肩は良いしバッティングもキャッチングも良い。配球もうまい。捕手としてクールさも持っている」。

 ☆15年2月14日 一塁手への転向を期す阿部の打撃を約35分間、直接指導。打撃ケージの前に出て左手の拳を突き出し、球のコースを示す熱血ぶり。「下半身を重点にして上半身、腕を使うように言った」。

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