打席に入る前から注目、ヌンチャクのようにバットを扱う青木二世

[ 2016年2月14日 08:40 ]

マリナーズの青木を思わせる姿で打席に立つ巨人・重信

 面白い選手を見つけた。2月12日にサンマリン宮崎で行われた巨人今季初の実戦となった紅白戦。先発したドラフト1位・桜井(立命大)の評価を他球団のスコアラーに聞くため、ネット裏まで足を運んだ時だった。同じ新人がネクストバッターズサークルで、バットをヌンチャクのようにクルクル回している。打席に向かう際もクルクル。早大からドラフト2位で入団した重信だった。

 初回無死二塁で迎えた第1打席。マシソンの甘く入ったスプリットを逃さずに捉え、思いきり引っ張った。一塁・ギャレットのグラブをはじく強襲打。プロ実戦初打席でいきなり初安打だ。7回の第3打席では見事なセンター返し。8回にはファウルで粘った末に逆方向の左前に運んだ。紅白で分かれた選手合わせて、唯一の3安打猛打賞である。50メートル5秒7の快足も存分に見せたが、広角に打ち分けた打撃にも目を奪われた。興味が増し、打席に入る前のルーティンを聞くと、22歳のルーキーは目を輝かせた。

 「(バットを振る時に)手首を柔らかく使うためです」。どんなコースにも球種にも対応する柔軟な打撃力。早大時代からのルーティンは生かされている。昨夏の高校野球、埼玉大会を思い出した。滑川総合の馬場優治という選手が打席でバットをヌンチャクのように振り回し、その姿が動画サイト「YouTube(ユーチューブ)」に投稿された。賛否両論あったものの、大きな話題となり、米国でも大リーグ公式サイトで取り上げられた。そのことを振ると、さらに目を輝かせて「僕のほうが先ですけどね」とニヤッとした。もちろん打席の中でやっているわけではないが、「元祖」として胸を張った。

 重心を低くした打撃フォームは、同じ左打者で早大の先輩でもある青木(マリナーズ)にそっくり。だから変化球で体勢を崩されても捉えることができるし、インパクトも力強いからヒットゾーンまで運べる。快足だけではなく、打撃の評価も高く、高橋新監督は「(試合で)使いたくなるような感じがありましたね」と目を細めていた。1軍首脳陣の間では「このままフォームをいじらずに育てていこう」と話し合っているという。

 長野、亀井、立岡らとの外野のレギュラー争い。「青木二世」が、いずれ定位置をつかんだとしても不思議ではない。巨人ファンには、ヌンチャクのようにバットをクルクル回す重信のルーティンにも注目してほしい。(飯塚 荒太)

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2016年2月14日のニュース