オコエ最終回に出た三塁打 梨田監督「持っている」

[ 2016年2月8日 05:30 ]

7回無死一、二塁、白組2番で先発出場のオコエが、赤組・高堀から左中間に2点適時三塁打を放ち滑りこむ

楽天紅白戦 紅組2―8白組

(2月7日 久米島)
 甲子園を沸かせた躍動感がよみがえった。楽天のドラフト1位・オコエ瑠偉外野手(18=関東第一)が7日、沖縄・久米島キャンプでプロ初実戦となる紅白戦に白組の「2番・中堅」で先発出場。3打数無安打で迎えた7回の第4打席に、左中間を破る2点三塁打を放った。快打、そしてトップスピードに乗ってから抜群に速い走り。デビュー戦の最後の最後に、一瞬で鮮烈な印象を残した。

 「オコエ劇場」の見せ場は最終回に待っていた。7回無死一、二塁。それまでいいところなしの背番号9が、高堀の内角131キロ直球を力の限り振り抜く。打球は左中間を真っ二つ――。

 「ちょっと詰まり気味だったけど、コースが良くてラッキーだった」

 白球がフェンス際まで転がる。オコエの時間だ。大きなストライドでぐんぐん加速。左翼手・八百板が捕球し、振り向いた時には二塁を蹴っていた。最後は軽いスライディングで三塁に達し、悠々セーフ。プロ初安打は2点三塁打となった。

 「自分の一番の武器であるベースランニングをしっかりやろうと思った。右中間、左中間に打球が行ったら常に(三塁を)狙う姿勢はある」

 三塁到達タイムは11秒42だった。一般的に三塁打での到達は12秒を切れば俊足と評され、西武・秋山の11秒03、中日・大島の11秒11がトップクラス。2人が左打者ということを鑑みれば、引けを取らない速さだ。昨夏甲子園で「ツーベース内野安打」「1イニング2三塁打」を演じた、距離が伸びるほど光る足。偵察したオリックスの曽我部直樹スコアラーは「円を描くような走塁は新庄(剛志、元日本ハム)を思い出す」と、現役時代の阪神同僚で、オコエ本人も憧れるスターを例示した。

 対応力の高さも見せた。「緊張しまくりだった」という初回の打席は、安楽との新旧ドラフト1位対決で見逃し、空振り、見逃しの3球三振。4回は浜矢の直球に詰まった一邪飛だった。6回には小野から中飛。徐々に遠くへと打球が向かった。木製バットの扱いに不慣れで、池山打撃コーチの徹底指導でスイングが遠回りする悪癖の修正を少しずつ進める。その中で披露した快打。実戦派というしかない。

 「アピールしたかったので、とにかく回ってきてほしかった」との願いが届き、最終打席で出した好結果。梨田監督は「あの場面で回ってくるのも持っているし、打てるのも持っている」とうなる。「今の自分はアピールできたかな。全体的に見たらあまり良くないので、もっとバットを振りたい」。無限の伸びしろを感じさせる18歳だ。(徳原 麗奈)

 ▼楽天・安楽(オコエを三振に封じ)打たれなくてよかった。投手と野手で比べるのはおかしいが、僕は去年、紅白戦に投げられる状態じゃなかった。得意分野の走塁も披露したし、結果を残すのはさすが。

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