「おいキヨ、食事に誘われたら断れるか?」神妙だった清原容疑者…担当記者の回想

[ 2016年2月5日 13:21 ]

取り調べを終え警視庁に戻る清原容疑者

 覚せい剤所持容疑で逮捕された清原和博容疑者(48)。西武入団時のスポニチ担当記者が逮捕を受けて現在の思いとあの頃の天才打者の秘話をつづった。

 2日夜、清原容疑者覚せい剤所持容疑で逮捕のニュースは衝撃的だった。私の携帯にも球界関係者の何人かから「逮捕された!」とのメールが届いた。何とも言えない空虚感というか、バカな!という思いが全身に走った。

 なぜ、こんなことになったのか。週刊誌に覚せい剤使用疑惑を書かれ、それでも覚せい剤に手を出したことになる。なんと愚かな。48歳にもなる男が、結果がどうなるかわからないはずもあるまい。このニュースを聞いて真っ先に思ったのが岸和田に住む両親のことだった。

 清原容疑者が西武に入団した1986年から7年間、担当記者として間近で見てきた。その間、どれだけ両親が息子に愛情を注ぎ、支えてきたか。誇りの息子が一転して野球界、世間を裏切る行為をしていたとは。

 高校時代の活躍は今更言うまでもない。スターとして入団し、そのままの結果を残して新人王にもなった。西武の主砲として日本一に貢献、当然の結果として周囲からちやほやされる。タニマチ的な人も出てくる。入団何年目か覚えていないが、あるとき清原容疑者が「今年タイトル獲ったら知人がベンツをプレゼントしてくれるんです」とうれしそうに話した。清原容疑者のブログではないが、その言葉に私はブチ切れた。

 「おいキヨ、そんなにうれしいか?」と聞いた。「おまえはこれからプロ野球を背負っていく男だろ?タイトル獲ってベンツもらったと喜ぶような小さな選手になってほしくないんだ。その人の知人が万が一暴力団で、食事に誘われたら断れるか?ベンツくらい自分の稼いだ金で買えよ」。神妙に聞いてくれたから、こちらの言いたいことは伝わったと思った。しかし今回の事件で、言ったことがむなしくも思える。(特別編集委員 落合紳哉)

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2016年2月5日のニュース