巨人・阿部 捕手復帰へ再始動 投手陣に金言ズバズバ

[ 2016年1月30日 05:30 ]

ブルペンで捕手として投手の投球を受ける阿部

 巨人・阿部慎之助内野手(36)が29日、捕手復帰に向けて本格的に再始動した。宮崎での合同自主トレ2日目でブルペンに出向き、山口鉄也投手(32)らの投球を受けた。投手陣には助言を送り、キャッチボールでもドラフト1位・桜井俊貴投手(22=立命大)の球を受けるなど精力的だった。昨季に続き一塁を守る主砲だが、捕手での起用も増えれば、攻撃型オーダーを組むことができる。V奪回に向けて新生・高橋巨人の鍵を握るのは、やはり阿部だ。

 ブルペンで投手を撮影していたテレビカメラが一気に本塁側に向きを変える。そのレンズは、阿部を捉えていた。

 「シュート投げられるの?指1本か2本広げて。引っ掛かってもいいから」。キャッチャーミットを胸の前に差し出し、マウンドの宮国に「狙いはここ」と指示を出した。

 投手の球を受けたのは昨年、最後に捕手として出場した6月6日ソフトバンク戦(東京ドーム)以来約8カ月ぶりだった。宮崎合同自主トレ2日目は雨の影響で、木の花ドームでの練習。阿部は突如、ドーム内にあるブルペンに出向き、投球練習中の山口の前に立って投球を受け始めた。さらに高木勇や宮国の球を全て立ったまま受けた。約40分。生き生きとし、何度も笑顔を見せた。報道陣に意図を問われると「悪い?暇だったから」と足早に球場を後にしたが、その表情は充実感に満ちあふれていた。

 首痛などの影響で一塁にコンバートされた昨季は不慣れな守備の影響もあり、打率・242、15本塁打、47打点という不本意な成績に終わった。起用法を最終判断するのは高橋新監督だが、阿部自身も「たぶん捕手もやると思います」と意欲を見せている。キャンプイン3日前にして捕手復帰へ本格的に動き始めた。

 慣れ親しんだ「定位置」に戻ることで打撃復活が期待できるが、利点はそれだけではない。投手陣に及ぼす相乗効果も計り知れない。山口には「上半身の力を抜いて、下半身で投げろ」と指示。アドバイスを実践したことで球は勢いを増した。高木勇には「右打者のインコースにしっかり投げていこう」と今キャンプのテーマを与えた。田口や今村の投球は真後ろで見守り、マウンドでの立ち居振る舞いを指導した。投手陣が思わず足を止め、クギ付けになった。阿部はそれほどの影響力を持つ。

 今季、メジャー通算122本塁打の実績を持ち、4番候補の新外国人・ギャレットが加入。本職は外野だが一塁もこなせるため、阿部が捕手に回れば攻撃的なオーダーを組むことができる。高橋監督ら首脳陣は3年目の小林が正捕手に成長することを期待しているが、実績は阿部が数段上。試合終盤に一塁から捕手に回すなど、守りのバリエーションも増える。

 最初のキャッチボールでは、途中からドラフト1位・桜井の投げる球も受けた。捕手起用について「キャンプ前に監督と相談したい」と話していた36歳。その目は本職復帰を見据えている。 (神田 佑)

 ▼山口 アドバイスをいただいたので途中からよく投げられました。キャリアのある方。信頼して投げられた。

 ▼高木勇 ダメな球はダメ。良い球は良いと言ってもらえる。安心感をあらためて感じました。

 ▼宮国 凄く投げやすくて、受けていただいてとてもうれしかった。分からないことは積極的に聞きたい。

 ◇昨季の阿部 首痛などの影響で捕手から一塁へのコンバートが決まり、開幕戦から一塁手で出場。しかし、ヤクルトからFA移籍した相川が故障で離脱したこともあり、4月3日の阪神戦(東京ドーム)で捕手に復帰した。同戦から25試合捕手として出場したが、途中出場した6月6日のソフトバンク戦(東京ドーム)の9回にマスク越しにファウルを受け、翌7日に首痛で出場選手登録を抹消された。6月19日の中日戦(東京ドーム)で一塁手として復帰してから、捕手での起用はなかった。

続きを表示

この記事のフォト

2016年1月30日のニュース