【レジェンドの決断 井端弘和2】“守備は大丈夫”と言える選手育てる

[ 2016年1月27日 09:00 ]

内野守備走塁コーチとして、高橋監督(左)を手助けしていく井端

 目の不調により、本来の力を発揮できなかった13年オフ、井端は中日から大幅減俸の提示を受け、退団を決意した。同時期、内野の強化を進めていた巨人から連絡が入った。

 「最初に連絡をくれたのが巨人。ここにお世話になろうと決めた」

 最大のライバルだった巨人の背番号2のユニホームに袖を通した。「こんな日が来るとは思ってもみなかった」という。入団が発表されると、高橋由に電話で報告した。

 「よろしく」「(電話が)かかってくると思っていたよ。こちらこそ」。亜大時代に慶大の高橋由と初対面。以来「同期のスーパースター」と位置付けていた男とプロ17年目で初めてチームメートになった。

 巨人に在籍した2年間、遠征先では何度も食事をともにし、プライベートでも親交を重ねた。「新入団選手みたいだったし、チームに由伸がいてくれて助かった」。今季から監督と内野守備走塁コーチという立場になる。V奪回へ向け、戦力の底上げが急務だ。強化する選手には、今月、長野、坂本らのグアム自主トレに同行した2年目の岡本らの名前が挙がる。

 「教えるというのは今年が初めて。選手がうまくなってくれたら、自分の自信にもなる」と意気込みを語る。まだまだ未知数の部分が多い中で、18年間の現役生活から培った信念が一つある。

 「例えば岡本のように打力のある選手でも、球界を代表する選手になるためには、打つだけでは駄目だと思う。でも、打撃は悩むことが多い。どんなに打つ選手でも、打席の半分以上は凡打になるからね。その点、守備は練習すれば、自信になりやすい。打撃と守備の両方を悩むのは大変。守備に問題を抱えていなければ、日々の全精力を打撃に注げる。だから“守備は大丈夫です”と言える選手を育てたい」

 92試合に出場し、飛躍のきっかけをつかんだプロ3年目。1軍投手のレベルの高さに戸惑いを感じながらも、徐々に対応していくことができた。それは「守備はある程度、大丈夫」と思えたからだという。「守備ができることで、打撃の練習や相手投手の研究を繰り返せばよかった。試合までの不安も少なくて、凄く得をしたと思っている」と熱っぽく語る。

 40歳で就任した高橋監督の心中を「同い年で、巨人の監督。とても想像できないようなプレッシャーだと思う」と察する。優勝の原動力となるような中心選手を育て上げ、手助けする。それが、井端弘和の「覚悟」だ。 (川手 達矢)

続きを表示

2016年1月27日のニュース