緒方監督が誓い「広島V報告を」元スカウト村上氏葬儀

[ 2016年1月14日 05:30 ]

広島・村上孝雄元スカウトの葬儀で弔辞を読む緒方監督

 8日に心不全のため逝去した元広島スカウト部長・村上(旧姓=宮川)孝雄氏(享年79)の葬儀・告別式が13日、北九州市内の斎場で執り行われた。広島OBや関係者ら約130人が参列。この中で広島・緒方孝市監督(47)は亡き恩師に向け「いい結果報告ができるよう精一杯頑張ります」と弔辞。高信二ヘッドコーチ(48)とともに今季のVを霊前に誓った。

 棺の前に立った緒方監督は、微笑む恩師の遺影を見つめ、朗々とした口調で語りかけた。同じ村上スカウトによって世に送り出され、今季から1軍で参謀役を務める高ヘッドコーチ、さらには先に弔辞を読み上げた北別府学氏、前田智徳氏らが神妙な面持ちで耳を傾ける。弔いの言葉は30年前の出会いから始まった。

 「孝市、こっちに来てみろ、テーピングの巻き方を教えてやる―。私が(鳥栖)高校3年の時、グラウンドでそう声をかけていただいたのが、初めての出会いでした」

 当時の指揮官は、甲子園出場が叶わず中央球界では無名の存在。だが、公式戦の本塁打は3本ながら4割超の通算打率を誇り、攻守走の3拍子揃う大型二塁手に村上氏は惚れ込んだ。ただ、青学大への進学が決まっており、ドラフト後は進路を思案。10日間じっくり考え、「どうせ野球をやるなら」と腹を決めて同氏に入団意思を伝えた。

 「キャンプ時期には毎日練習する姿を温かく見守ってくれ、時に厳しくゲンコツを食らったことも、よく覚えています」

 以来、22年間の現役時代はもちろん、指導者への転身後も常に叱咤激励され続けた。そんな恩師の霊前に誓った目標。奇しくも今季から参謀を務める高コーチは言った。「(村上氏には)前々から“2人でやれ。それまで死ねん”と言われていた。見守ってくれると思う。全力で頑張る」。指揮官とて同じ思いだ。

 「もうすぐキャンプ、そして今季の戦いが始まります。いい結果報告ができるよう、精一杯頑張ります。大好きなビールを飲みながら、天国から見守ってください」

 最後の別れを惜しみ、感謝と今季への決意を込めた4分6秒。25年ぶりのリーグ制覇へ。緒方監督は今秋、最高の報告を墓前に届けるつもりだ。(江尾 卓也)

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2016年1月14日のニュース