オコエ ライバルは純平でも平沢でもなく…妹・桃仁花

[ 2016年1月5日 10:04 ]

「宇宙征服」と書いた絵馬を掲げるオコエ

 妹には負けたくない!楽天のドラフト1位・オコエ瑠偉外野手(18=関東第一)がトリプルスリーを目指し、プロの門を叩く。驚異的な身体能力を誇り、昨夏の甲子園を沸かせたスター候補生。6日の入寮を前に最大のライバルに挙げたのは、高校女子バスケットボール界で活躍する妹の桃仁花(もにか=明星学園2年)だ。その妹と一緒に2020年東京五輪に出場するため、プロでの活躍を誓った。

 身近な存在だからこそ、強烈に意識する。オコエにとって一番のライバル。それはU―18W杯でチームメートになり、同じドラフト1位でプロ入りするソフトバンク・高橋やロッテ・平沢ではない。怪物1年生の早実・清宮でもない。1学年下の妹・桃仁花だった。

 「妹は自分より先にクローズアップされたので。中学時代から注目されていたけれど、注目度が増した高校入学時ぐらいから(ライバル意識が)始まりました」

 明星学園2年の桃仁花は昨夏の高校総体女子バスケットボールでベスト4。1メートル80の長身を生かしたプレーでU―16日本代表候補入りした。同じく昨夏の甲子園でブレークしたオコエより一足早い活躍。身長でわずかに3センチ高い兄は「本当に負けず嫌い。ケンカをすれば絶対に向かってきた」と強気な性格に舌を巻く。競技こそ違うが、幼い頃から競い合ってきた。昨年11月にプロ入りが決まった後、妹を焼き肉店に連れて行き、初めてごちそうした。2人の夢は4年後の東京五輪に兄妹そろって出場することで「寮生活(桃仁花は下宿)であまり会わないから具体的に話し合ったことはないが、お互い勝手に意識し合っています」と対抗心を燃やした。

 そのためにはまずプロで活躍し、侍ジャパンのメンバーに選ばれなければならない。昨季のソフトバンク・柳田とヤクルト・山田のような打率3割、30本塁打、30盗塁のトリプルスリー達成を目標に掲げ、理想の選手像を走攻守で分けている。「走塁は巨人の鈴木選手、打撃はヤクルトの山田選手、(外野の)守備だとイチロー選手(マーリンズ)、新庄選手(元日本ハム)のようになりたい」。各部門のトップレベルの選手を組み合わせたハイブリッドな選手を目指している。

 50メートル5秒96の快足。さらに遠投120メートルの強肩と脚力を生かした外野守備はプロでもトップレベルにある。課題は打撃だ。高校通算37本塁打を誇り、パワーはある。だが、確実性は低く、まだ発展途上だ。プロ初打席のイメージは「フルスイングして三振デビューですね」。その理由は「本心からそう思えばてんぐになることはないだろうし、ドラフト1位というプライドもなくなると思う」。プロで鼻っ柱を折られることは分かっている。だから、今はひたすらバットを振っている。多い日で1日5時間以上。「プロのコーチに教わるために、しっかりと何本でもバットを振れる体力を付けることを心掛けています」と先を見据えた。

 現実を見つめる18歳。ただ、絵馬には「宇宙征服」と書いた。同じドラフト1位の平沢が入団会見の際、絵馬に「世界征服」と書いたことを知り、「“世界”を上回るのは“宇宙”!」と言って、豪快に笑った。オコエの夢は宇宙のように無限大に広がっている。(徳原 麗奈)

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