成績軒並みダウン「打者・大谷」復調手応えも試行錯誤の日々

[ 2015年12月26日 09:02 ]

バットを手に険しい表情の日本ハム・大谷

 12月15日。千葉・鎌ケ谷の室内練習場。日本ハム・大谷はグラブを持たず、ひたすらバットを振り込んだ。約1時間30分。濃密なひとときを終えると、今季の打撃低迷の原因について語り始めた。

 「“打ちミス”は(バットとボールが)コンタクトする時にズレて打ち取られるということだけど、(今季は)そこに至っていなかった。ミスショット以前の問題。(自分と)ボールとの距離感が悪かった」

 このオフ、大谷は一心不乱にバットを振り続けている。プロ3年目の今季。投手3冠に輝くなど飛躍を遂げたが、打者としては打率・202、5本塁打、17打点。「2桁勝利(11勝)&2桁本塁打(10本塁打)」を達成した昨季から、軒並み成績を落とした。さらに昨季の48三振に対し、今季は43三振。打席数は昨季の234打席から119打席に半減しているのにもかかわらず、三振する割合が大幅に増えた。「内角の球が増え、変化球も増えた。基本的には自分のゾーンで打てばいいけど難しかった」。ストライクからボールになる変化球への対応に課題を残した。

 この日、鏡に向かってテークバックからのステップを何度も繰り返した。この間、スイングは一切しなかった。そうかと思えば、直後に打撃マシンを打ち込み、鋭い打球を連発した。「そこ(コンタクト)にいくまでの待ち方、(体重の)運び方が大事。今の自分にはトス打撃より、マシン(打撃)の方が良いのかなと思う。今、コンタクト自体は悪くない」。自分とボールとの「距離」さえ保てば、確実に捉えられる。ただ、「打撃に関しては良い、悪いという取捨選択は投手以上に難しい。必ずしも結果に結びつくものではない」とも言った。「打者・大谷」は復調の手応えを感じつつも、試行錯誤の日々を送っている。

 栗山監督は口癖のように「もっと打たないとダメ。全然ダメ」と叱咤(しった)する。2年ぶりの「2桁勝利&2桁本塁打」へ。大谷は言う。「そう言ってもらえるのはうれしい。期待されないより期待される方が良い。何とか応えたい」。優勝に導いてこそ二刀流。そのことは大谷自身が一番分かっている。(記者コラム・柳原 直之)

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2015年12月26日のニュース