DeNA柿田 台湾Wリーグでプロの厳しさ再確認、勝負の3年目へ

[ 2015年12月23日 08:30 ]

今月21日、台湾でのウインターリーグから帰国したDeNA柿田

 柿田裕太、23歳。背番号13。松本工から日本生命を経て、13年ドラフト1位でDeNAに入団した。しかし、プロ2年間で1軍登板はなし。生き馬の目を抜く弱肉強食のプロの世界。その厳しさを、異国の地であらためて痛感した。

 「他のチームの人の話を聞いて刺激を受けた。身が引き締まった」

 台湾でのウインターリーグ。特に脳裏に深く刻み込まれたのが、普段はリーグも違って交流の少ないソフトバンクの選手の話だった。3軍制を敷くチーム体制。「2軍でも競争が激しいし、悪ければ3軍に落とされる。それで上(1軍)も2軍も(ウエスタンで)優勝して…。強いチームの話を聞けて勉強になった」。自身もプロ2年間を2軍で過ごした。しかしDeNAでは、その「下」はない。今季開幕前の育成選手の数は、ソフトバンクの23人に対して3人。システムが違うとはいえ、選手層の厚さの差は歴然だ。

 選手層が厚ければ、自然と競争原理が生まれ、争いはより激しくなる。柿田は己の身を振り返って考えた。「僕はずっと2軍にいて…。勝負の世界というより、(環境に)慣れてしまっている」。誰よりものし上がるために、プロの世界に入った。それもドラフト1位で指名された。しかし、今の自分は――。「とりあえず、ガムシャラに勝負したい。正直、かなり期待を裏切っている。今更ですけど、見返せるようにしたいです」。柿田は目を輝かせながら、熱っぽくそう言った。

 台湾ではNPB選抜の一員として6試合に登板。2勝1敗で防御率1・71の好成績を残した。20日の台湾アマ選抜との決勝にも先発。しかし7回0/3を3失点で敗戦投手となった。「決勝は一発勝負のプレッシャーがあった。その中でいかにぶれずにやるか。いい経験ができた」。勝負の世界に生きるのがプロ野球選手。勝ち抜こうとの意識はアスリートとしての本能ともいえる。柿田は、自分自身に何が必要なのかをあらためて実感した。

 異国の地ではノーワインドアップでの新フォームにも取り組んだ。「指のかかりも良くなった。この感覚を忘れずにやりたい」。21日に帰国。短いオフを経て、勝負の3年目に臨む。13年ドラフト。柿田は外れ1位ながら、DeNA、日本ハム、阪神の3球団の指名が競合した。未完の大器。右腕は新たな思いとともに競争原理の世界に身を投じる。(記者コラム・鈴木 勝巳)

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2015年12月23日のニュース