試練続きの日体大時代 父の言葉励みに…DeNAつる岡「やりきった」

[ 2015年12月15日 10:20 ]

1軍出場は14年の24試合のみに終わったつる岡

惜別球人・DeNA

 人生は出会いがあれば、別れもある。それは球界も同じだ。シーズンオフ。別離と、新たな旅立ちの季節を迎えた。来季はソフトバンクのドラフト1位・高橋純平投手(18=県岐阜商)、楽天の1位・オコエ瑠偉外野手(18=関東第一)ら、育成選手も含めて新たに115人がプロの門を叩く。一方で多くの選手がユニホームを脱ぎ、次なる人生をスタートさせる。年末恒例の「惜別球人」。第1回はDeNA。

 現役生活への別れは突然だった。10月25日に戦力外通告。報告すると同僚の松本が泣いていた。「松さんを見て一生懸命やってきたことが間違ってなかったと。我慢できなかった」。DeNAのつる岡も涙が止まらなかった。

 父・茂昭さん(58)の支えなしに、プロ野球選手になれなかった。春日部共栄時代、3年夏の甲子園では辻内(元巨人)からバックスクリーン弾。同年秋に田中(現ヤンキース)らとAAAアジア選手権の日本代表に選ばれたが、日体大では試練が続いた。

 1年生だった4月に母・美沙子さんが難病のため46歳の若さで死去。野球部の4年間も「2軍」で大半の時間を過ごした。心が折れかけた時、茂昭さんが「おまえは他の選手に負けていない」と励まし続けてくれた。四国・九州アイランドリーグの愛媛でのプレーを勧めたのも茂昭さんだった。

 プロ5年間で1軍出場は14年の24試合出場のみ。でも、悔いはない。「大学の2軍の試合も見に来てくれた親父に、プロの1軍でプレーした姿を見せられて良かった。やりきりました」。第二の野球人生はブルペン捕手でチームを支える。(平尾 類)

 ◆つる岡 賢二郎捕手(つるおか・けんじろう)28歳、5年目。春日部共栄甲―日体大―四国九州・愛媛。10年ドラフト8位。最高年俸650万円(15年)

 ▼通算 24試合、打率・267、0本塁打、2打点、0盗塁。

 ▼思い出 1軍でプレーする姿を父・茂昭さんに見せられたこと。

 ▼再出発 DeNAブルペン捕手。

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