ロッテ田中 京大出身さすがの名授業 「夢先生」で小学生に熱く語った

[ 2015年12月12日 08:40 ]

「夢」について語るロッテ・田中

 ロッテ・田中英祐投手(23)が11日、日本サッカー協会と日本プロ野球選手会が協力して実施する「JFA心のプロジェクト 夢先生」に先生役として参加。埼玉県の三郷市立前谷小学校の5年生児童34人を前に、京大出身の右腕はどん底からスタートしながらプロにまで上り詰めた自らの野球人生を語った。「逆しくじり先生」として、夢を諦めないことの大切さを熱く伝えた。

 子供たちに「英ちゃんと呼んで!」と優しく呼び掛けた田中は、スーツ姿で人生初の教壇に立つと、挫折の連続だった自分自身を教材にした。1軍デビュー戦となった4月29日の西武戦(QVCマリン)でメヒアからプロ初三振を奪ったVTRから授業はスタート。そして、ほとんど人に話したことがない「過去」を語り始めた。

 「野球を始めたのは小学4年生なんやけど、初めて投げた試合で何点取られたと思う?6回を投げて、その試合で18点も取られたんよ」

 野球人生の第一歩が最悪の結果だったことを告白した。「中学3年間は2勝しかできなかった」「高校時代は甲子園予選の1勝だけ」。プロ入りまでの課程を黒板に「夢曲線」という折れ線グラフにして説明。小学生時代は内外野、捕手とポジションをたらい回しにされ、新環境で投手として再出発するために中学受験を選択したという。

 「嫌いだった勉強を頑張った。土曜日も日曜日も6時間ぐらい勉強した」。そして、白陵高から京大に合格。「走るのが嫌いだったけど、毎日1時間走るようになって。やっと実力がつき始めた」。プロから注目されるようになったのは、大学3年。「しくじり人生」は、そこから急カーブを描いて上昇したという。

 今回の授業は、秋季キャンプ終了後からプランを練り上げた。「結果を出すのに時間がかかった野球人生だった。そういう意味では(プロでも)いずれ良くなるんじゃないかなと思えた。昔の気持ちを思い出した」と田中。プロ1年目の今季は2試合登板で0勝1敗。自らの人生を振り返ることで、折れかけた心に再びを火を付けた。

 「英ちゃん先生」は最後に子供たちに熱いメッセージを送った。「夢をかなえるヒントは“諦めないこと”。努力はいつか実ります」。50分間の授業を終えると、報道陣に自らの「夢」も発表。「僕の夢は1軍で活躍すること。まずは1勝を挙げる姿を見せたい」。目を輝かせながら2年目の「逆襲」を誓った。 (重光 晋太郎)

 ◆「しくじり先生 俺みたいになるな!!」 テレビ朝日系列で放送されているバラエティー番組。人生で過去にしくじった経験がある人が「しくじり先生」として登場。同じ過ちを繰り返さぬよう、しくじり回避の方法などを授業形式で生徒に教えていくもの。14年10月放送開始。当初は深夜の30分番組だったが、15年4月からゴールデンに移動。以降は主に2時間、3時間のスペシャル番組で放送されている。野球関係では元木大介氏(元巨人)、G・G・佐藤氏(元ロッテ)らが先生役を務めた。

 ▽JFAこころのプロジェクト「夢の教室」 日本サッカー協会(JFA)の事業。一流アスリートが夢先生として教壇に立ち、「夢を持つことの素晴らしさ」「失敗や挫折に負けない心の強さ」などを伝える。07年4月から延べ9000回の夢授業が行われている。11月2日に同協会と日本プロ野球選手会が連携協定を締結。現役プロ野球選手が夢先生を務めることになった。

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