由伸 けじめのフルスイング 監督として「覚悟持ってまい進します」

[ 2015年11月24日 05:32 ]

ファンに現役引退のあいさつをする高橋監督

巨人・高橋新監督 現役引退・監督就任セレモニー

(11月23日 東京D)
 巨人の高橋由伸新監督(40)の現役引退・監督就任セレモニーが23日、東京ドームでの「ジャイアンツ・ファンフェスタ2015」の中で行われた。あいさつでは今季リーグ4連覇を逃したチームの再建を力強く宣言。1打席限定の真剣勝負では菅野、阿部のバッテリーから現役時代さながらの打球を左中間へ飛ばした。サプライズゲストとして長嶋茂雄終身名誉監督(79)が登場し、新たな船出に花を添えた。

 約3分に及んだスピーチの最後だった。決意を込めるように一拍置くと高橋監督は「最後に、皆さまに誓います」と切り出し、言葉に力を込めた。

 「どんな逆境にも立ち向かい、覚悟を持ってまい進します。そして、野球の素晴らしさを、しっかりと伝えていきます」

 うっすらと涙を浮かべた背番号24を球場全体の「由伸コール」が包み込んだ。18年間の現役生活を支えてくれたファンに感謝を伝えるため、ゆっくりと球場を1周。「誇れることがあるとするなら、巨人軍で現役生活を全うし、完全燃焼できたことだと思います」。最後は本塁付近で仲間たちの手に身を委ね、背番号の2と4を足して6度、宙を舞った。

 現役引退と同時に第18代監督に就任。秋季キャンプ(宮崎)での指導を終えたが、結果が問われるシーズンに入れば体験したことがない重圧に襲われる。今季リーグ4連覇を逃したチームは打撃陣の不振が深刻で、若手も伸び悩んでいる。オフには3選手による野球賭博問題が発覚。向かう道のりは決して平たんではない。

 現役には「未練はないです」と言い、監督への就任要請を受けた時点から兼任監督は頭にはなかった。「選手時代以上に皆さまの声援を力強く感じながら、叱咤(しった)激励を受けながら、監督を務めていきたいと思います」。引き受けるからには中途半端な形ではできない。けじめをつけて、監督業に挑む。

 引退セレモニーの「1打席勝負」では入団時の監督である長嶋茂雄終身名誉監督が見守る中、菅野が2球目に投じた直球を左中間へ力強くはじき返した。「思い切り振れました」と逆方向への鮮やかな当たり。球場1周後に再び打席に入り、最後となる打席からの風景を目に焼き付けた。長嶋氏からは「とにかく頑張れ」と激励を受けた。

 最後の打席に向け、秋季キャンプ中も全体練習終了後にティー打撃を行ってきた。約4キロのランニングも日課とし、キャンプ終了後からこの日までの2日間も体を動かした。ファンフェスタ時とは異なり、ソックスを完全に見せる現役時代と同じオールドスタイルで打席に入り、球場を沸かせた。用意された舞台に応えようと選手時代と変わらない努力を重ねた。

 「ここ、東京ドームで温かい声援を一身に受けプレーできたことは、本当に幸せな時間でした」。巨人一筋の男が現役生活に区切りをつけ、今度は指揮官として球界の盟主の再建に挑む。 (川手 達矢)

 ◆高橋 由伸(たかはし・よしのぶ)1975年(昭50)4月3日、千葉県生まれの40歳。桐蔭学園で1、2年夏に甲子園出場。慶大では3年春に3冠王。通算23本塁打の東京六大学新記録をマークした。97年ドラフト1位(逆指名)で巨人に入団。ベストナイン2度、ゴールデングラブ賞7度。04年アテネ五輪で銅メダル獲得。15年は打撃コーチを兼任した。1メートル 80、87キロ。右投げ左打ち。

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