由伸監督からナインへ「辞めた時に“やり尽くしたよ”というくらい…」

[ 2015年11月23日 10:30 ]

巨人・高橋新監督は選手「高橋由伸」として最後の出番を迎える

高橋新監督インタビュー(上)

 巨人・高橋由伸新監督(40)が23日、選手としての最終打席に立つ。「ジャイアンツ・ファンフェスタ 2015」(東京ドーム)の中で行われる「現役引退・監督就任セレモニー」でエースの菅野智之投手(26)と「1打席勝負」を行い、ラストスイングを披露する。原辰徳前監督(57)の辞任により引退即監督に就任。スポニチ本紙インタビューに応じ、ナインに向けて、現役生活を悔いなくやりきってほしいとメッセージを発した。 (聞き手・大林 幹雄、川手 達矢)

 ――個々のレベルアップを目指した秋季キャンプ。収穫、手応えは。

 「レベルアップの結果は現時点では分からないと思います。ただ投手も野手も結構走らせて結構振らせて、その中で大きなケガ人も出ず、離脱者も出ずにやってくれたところが、今のところ一番の大きな収穫じゃないかなと思いますね」

 ――徹底して振り込んだ野手陣は、意識の面も含めて変わった?

 「長い時間きちっと振れているということは、気持ちの部分でも体力的な部分でも、少しは強くなっているんじゃないかなとは思います」

 ――現役引退して即、監督に就任。野球をしたくなることは。

 「野球をやりたいとはあまり思わないです、もう。(動かないことで)体が痛くなるから“ちょっと動かしたいな”というくらいで。気持ちは全然切り替わっているし、現役に対する未練というのは全くないので」

 ――先月20日に要請を受けて23日に受諾。決断は早かった。

 「もともと、やれるんだったらやりたいけれども、全ての(現役を続ける)条件が整わなければ僕はいつ引退してもいいように悔いの残らないようにやろうとはずっと思っていた。“条件が整わなかった”わけじゃないですけども、違った形でチームの力になってほしいということを僕は言われたと思っているので」

 ――スタートしたばかりだが、監督としての楽しさを感じることは。

 「今だから言えますけど、選手をやっていても毎日不安で楽しいと感じたことはないんです。でもやっぱり(現役を)やっている方が日々の充実感はありましたよね(笑い)。今の段階では。松井(秀喜)さんにも“選手が一番いいよ”と(言われた)。未練があるわけじゃないですよ。あるわけじゃないけど、やっぱり思いますね。今から戻りたいとは思わないですけどね、別に。今しかできないよ、とは思いますよ。大変だけど」

 ――今しかできないからこそ、選手には徹底してやり抜いてほしい。

 「僕だって大変な思いをして選手をやっていましたけど、今しかできないというのは、辞めてさらに思います。だからもう、辞めた時に“悔いは全然(ない)。やり尽くしたよ”というくらいやってほしいですよね。全員がそういうわけじゃないですから。当然(道半ばで)自由契約になる選手もいるし、最後の最後までやりたい時期までやれる選手もいるし」

 ◆高橋 由伸(たかはし・よしのぶ)1975年(昭50)4月3日、千葉県生まれの40歳。桐蔭学園で甲子園に2度出場。慶大では3年春に3冠王。通算23本塁打の東京六大学新記録をマークした。97年ドラフト1位(逆指名)で巨人に入団。98年は川上(中日)に新人王を譲るもセ・リーグ特別表彰を受賞。ベストナイン2度、ゴールデングラブ賞7度。04年アテネ五輪に出場して銅メダルを獲得。15年は打撃コーチを兼任した。通算成績は1819試合で打率.291、321本塁打、986打点、29盗塁。1メートル80、87キロ、右投げ左打ち。

 ▽高橋監督就任までの流れ 原前監督は10月17日、CS敗退が決まった試合後、辞任の意向を桃井恒和球団会長に伝え、19日に退任会見が開かれた。翌20日、打撃コーチ兼任の高橋由に久保博球団社長らが監督就任を要請。高橋由は「大変光栄な話」と前向きに語り、受諾した場合は現役を引退する意向を示した。23日に渡辺恒雄球団最高顧問、白石興二郎オーナーと面会して要請受諾を報告。「覚悟を持ってまい進します」と語った。26日に就任会見。3年契約、現役時代と同じ背番号24で指揮を執ることが決まった。

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