松田 苦境を力に変える“突破力” 底抜けの明るさでチーム鼓舞

[ 2015年11月16日 11:10 ]

14日の米国戦で7回に満塁本塁打を放った松田。ファンの声援に熱男ポーズで応える

 熱戦が続いている「プレミア12」。侍ジャパンは予選ラウンドB組を5戦全勝で1位突破し、16日に準決勝進出を懸けプエルトリコと戦う。大会期間中には試合以外でも注目の動きがあった。9日、ソフトバンクの松田宣浩内野手(32)が海外フリーエージェント(FA)権を行使して大リーグに挑戦する意向を示した。

 「今は侍ジャパンの一員として、プレミア12での優勝を目指して、野球に集中したい」と球団を通じてコメントを発表した松田だったが、11日のメキシコ戦からは無安打が続いた。そこで、めげないのが松田の松田たるゆえんだ。14日の米国戦で7回に満塁本塁打。予選ラウンドの舞台を台湾に移してから8打席目にようやく出た初安打がド派手な一発となった。

 逆境を乗り越える「突破力」を持っている。亜大4年時は部員の不祥事の影響で東都大学リーグ1部でプレーできなかったが、主将として秋季2部優勝と1部復帰に貢献した。プロでも幾多の壁を突き破ってきた。

 2005年ドラフトの希望入団枠でソフトバンク入り。当時の王貞治監督(現球団会長)は、この年のオフに大きな決断を下している。メジャー通算214発の実績を引っさげて入団し、まだ2年契約の途中だったトニー・バティスタを解雇した。年俸5億2000万円を捨ててまで三塁のポジションを空けたが、松田の1年目の成績は振るわず、打率・211、18打点、3本塁打の成績に終わった。この苦境も力に変える。同年オフに2軍監督から1軍総合コーチになった秋山幸二氏に鍛えられ、07年途中から頭角を現し、08年からはレギュラーに定着。09年以降の6年間では5度の骨折も乗り越え、今季は35本塁打、94打点といずれもキャリアハイの成績を記録した。

 底抜けに明るく、ポジティブ。工藤監督が「彼の存在は非常に重要」と語るように、声を張り上げて仲間を鼓舞する松田の姿勢はチームに活力を与える。米国戦で満塁アーチを放った後には今季おなじみとなった「熱男!」の絶叫パフォーマンスでベンチは大盛り上がりだったという。プレミア12での残る戦い、オフの去就と「熱男」から目が離せない。(森 寛一)

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