中田 最強6番劇打!9回、5番筒香敬遠に「気合入った」

[ 2015年11月12日 05:30 ]

<日本・メキシコ>9回1死一、二塁、中田(左)はサヨナラ打を放ち喜びを爆発させる

プレミア12予選ラウンドB組 日本6―5メキシコ

(11月11日 台北・天母)
 侍ジャパンは11日、予選ラウンドでメキシコと対戦し、5―5の9回1死一、二塁から6番の中田翔内野手(26)が右中間へのサヨナラ打を放った。2回には国際大会初アーチとなる逆転の左越え2ラン。今大会では4番を中村剛也内野手(32)に譲ったが、計5打点で存在感を見せつけた。3点差を追い付かれる苦しい戦いに競り勝ち、予選ラウンド2連勝。B組の単独トップに立ち、12日のドミニカ共和国戦に勝てば、他国の結果次第では予選を突破する。

 燃えた。それを力に変えた。同点に追い付かれた直後の9回1死二塁。5番の筒香が敬遠で歩かされると、中田のアドレナリンが噴き出した。

 「正直、筒香が敬遠されて一気に気合が入った。普段、(目の前で)敬遠されることはない。何とかしないといけないと思った」。フルカウントからのスライダーを叩くと、打球は右中間へ飛んだ。劇的なサヨナラ打。一塁ベースを回った中田は駆け付けたナインから祝福を受けると、照れ笑いを浮かべた。

 「1打席目はシーズン中でも大事にする。本塁打を打てたことで、その後の打席が楽に入れた」。中田で始まり、最後も中田が決めた。1点を先制された直後の2回1死一塁から左越えに逆転2ラン。3回には中犠飛を放ち、5回にも中前適時打を放った。9回のサヨナラ打を含め、1試合5打点は13年の小久保ジャパン結成後最多だ。

 「打球が上がらないんです」。2日に侍ジャパンに合流すると、現役時代に兄貴分だった稲葉打撃コーチに悩みを打ち明けた。前のめりになっていた上体を指摘され、体重を後ろに残すようアドバイスを受けた。さらに「打球は自然と上がるから、上げようとするな」という言葉を贈られた。2回の国際大会初アーチはチェンジアップを引きつけ、打球も自然と上がった。帰りの球場通路では「打球は上げようとしても上がらん」と納得するように漏らしていた。

 中田は台湾でも人気が絶大。母国のスーパースター・陽岱鋼(ヨウ・ダイカン)が在籍する日本ハムの主催試合は、スポーツ専門チャンネルで全試合中継。スタンドからは「ナ・カ・タ・ショー」と声を合わせる日本ハムではおなじみの応援が送られ、中田も「ホームみたいな気持ちでできた」と感謝した。10日の全体練習後には日本ハムの後輩・中島らとスタジオジブリの映画「千と千尋の神隠し」の世界が広がる「キュウフン」を訪れた。ちょうちんの明かりで彩られた景色が広がり、パワースポットとしても有名。あふれんばかりの笑顔でつかの間の休息を楽しんだ。

 小久保ジャパンでは不動の4番を任されてきたが、今大会から大阪桐蔭の先輩・中村剛に譲る。指揮官は6番の中田について「いい状態で合流してくれて、そのまま結果につなげてくれた」と称賛。さらに「4~6番はケガをしない限り代えるつもりはない」と明言した。「正直、楽な気持ちはある」と中田。肩の力が抜け、自然体でスイングができている。最強の6番が世界一へのキーマンになる。 (柳原 直之)

 ○…中田がサヨナラ打を含む5打点。小久保監督就任後の侍ジャパンでは、6日の強化試合プエルトリコ戦の嶋に続くサヨナラ打。五輪とWBCを含む主要国際大会では、04年アテネ五輪予選リーグの台湾戦で小笠原が打って以来。また1試合5打点は小久保ジャパンの個人最多。主要国際大会では、13年WBC2次ラウンド1位決定戦のオランダ戦で長野が5打点して以来の大暴れ。

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