大谷 最警戒は161キロ投げ込んだ3番「伝わる感じがあった」

[ 2015年11月9日 06:06 ]

<日本・韓国>5回1死一、二塁、カン・ミンホを空振り三振に斬り、ガッツポーズの大谷

プレミア12予選ラウンドB組 日本5―0韓国

(11月8日 札幌D)
 宿敵に快勝!侍ジャパンは8日、開幕戦で韓国と対戦し、先発の大谷翔平投手(21=日本ハム)が、今季最速タイの161キロをマークし、6回2安打無失点で圧巻の10奪三振。強力打線を力でねじ伏せ、侍初勝利を挙げた。打線も毎回の12安打を放つなど投打で圧倒。初代王者を目指し、小久保裕紀監督(44)は最高のムードで、9日に台湾に乗り込む。次戦は11日にメキシコと対戦する。

 グラブを叩いた。そして大きく吠えた。2―0の5回無死一、二塁。この試合初めて得点圏に走者を背負った大谷は、ギアを一気に上げた。

 「“3人三振を取ればいいや”というくらいの気持ちでいった」

 7、8番を連続で空振り三振に仕留めると、最後は代打の切り札として登場した羅成範(ナ・ソンボム)もフォークで見逃し三振。狙い通りの3者連続三振で唯一のピンチを脱した。

 日本シリーズMVPの李大浩(イ・デホ)と、韓国プロ野球史上初の2年連続50本塁打以上をマークした朴炳鎬(パク・ピョンホ)が4、5番に座る強力打線。しかし、大谷のターゲットは違った。「僕は3番の打者が良い打者だと思っていた。打席から伝わる感じがあった」。09年WBCではベストナインにも選ばれた韓国屈指の安打製造機・金賢洙(キム・ヒョンス)に対し、本気モードのスイッチが入った。

 初回2死での対戦。その2球目に今季自己最速に並ぶ161キロをマークし、最後は高速フォークで空振り三振に仕留めた。4回の第2打席でも160キロを計測。この打席はフォークを右前に運ばれたが、6回2死ではスライダーで再び空振り三振に斬り、リベンジした。この試合10個目の三振。マウンドを降りると、小久保監督から握手でねぎらわれた。91球で2安打無失点と完璧な投球。自身にとっての侍ジャパン初勝利で、チームを開幕戦白星に導いた。

 小久保監督から正式に開幕投手を通達されたのは、先月下旬の日本シリーズ直前。今月3日には福岡市内のホテルで行われた壮行会で開幕投手を「公開指名」され、大谷の気持ちは最高潮に高ぶった。その夜。中田、稲葉打撃コーチら日本ハム勢で食事会が行われたが、大谷はその誘いを断った。「調整を優先したい」。午後9時まで宿舎のトレーニングルームでウエートトレーニングに取り組んだ。「“昨日(7日)ああしよう、こうしよう”と考えて、そこを整理した。これでもかというくらい慎重にきた」。ただ、韓国打線の映像は2日の集合日まで見なかった。今季投手タイトル3冠に輝いた自分の投球さえすれば抑えられる自信があった。

 トップチームとしては09年第2回WBC決勝以来、6年ぶりのライバル対決に完勝。小久保監督は「きょうは大谷翔平に尽きる」と絶賛し「台湾に行っても気持ちを緩めることなく、全部勝って予選を通過したい」と締めた。大谷も言う。「世界一しか見えていない」。二刀流の剛腕が大舞台で大役を果たし、最高のスタートを切った。 (柳原 直之)

 ▼嶋(大谷について)真っすぐに勢いがあるからフォークが有効に決まる。想像していた以上の素晴らしいピッチャーだとあらためて思った。この大会はとにかく勝つことが一番。ゼロに抑えたことは次につながる。

 ≪08年北京五輪の成瀬以来≫大谷が6回で10奪三振。小久保監督就任後の侍ジャパンで投手の奪三振は13年11月8日台湾戦の小川と今月5日プエルトリコ戦の前田健の8が最多で、2桁は大谷が初。五輪とWBCを含む主要国際大会では08年北京五輪カナダ戦で成瀬が10三振を奪って以来となった。

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