小久保ジャパン14戦目で初サヨナラ!「細かいサイン」実った逆転劇

[ 2015年11月7日 05:30 ]

<日本・プエルトリコ>9回1死一、二塁、サヨナラ左前適時打を放った嶋(右)はチームメートに出迎えられる

強化試合 日本3―2プエルトリコ

(11月6日 ヤフオクD)
 野球の国際大会「プレミア12」に出場する侍ジャパンは6日、ヤフオクドームでプエルトリコとの強化試合の第2戦を行い、3―2でサヨナラ勝ちした。1点を追う9回に秋山翔吾外野手(27=西武)が同点打、主将を務める嶋基宏捕手(30=楽天)がサヨナラ打。小久保裕紀監督(44)も手応えをつかむ強化試合2連勝で、予選ラウンド初戦となる開幕8日の韓国戦(札幌ドーム)に弾みをつけた。

 キャプテンは一塁ベースを回って、一塁ベンチへ向かって右手の拳を握った。2―2の9回1死一、二塁。途中出場の嶋が放った打球は三遊間を抜けた。小久保監督にとって14戦目での初のサヨナラ勝ちだった。

 「坂本から始まって、秋山も必死につないでくれたので、何とか還したいという気持ちだった。シーズン中はなかなか活躍できなかったので、久しぶりに打ったなという感じ。9回はチームが一つになって向かっていった結果」

 嶋の言葉が1点を追う9回の結束を物語っていた。先頭の坂本の左前打と暴投の後、平田は進塁打のサインに応えて、二ゴロで1死三塁の形をつくった。秋山は執拗(しつよう)な内角攻めにも動じず、7球目の内角高め直球を詰まりながらも左前へ運んだ。「平田さんがつないでくれてヒットゾーンが広がった」と秋山は話す。もし走者が二塁であれば、外野手は前進守備を敷く。ベンチの指示に一人一人が意味のこもった打席で応えた。秋山はすぐさま盗塁に成功。嶋の劇打を呼び込んだ。

 8回まで残塁は9を数えた。目まぐるしく投手交代するプエルトリコの前に連打は難しかった。これは本大会でも想定できる事態。ならば、どうやって1点を取るか。小久保監督は「接戦の中で、進塁打、スチールなど細かいサインをたくさん出せたことが収穫」と話した。本大会前に得点の取り方を再確認できたことに意味があった。

 1番の秋山が前日の決勝2ランに続き、この試合では全5打席で出塁するなど最高の状態にある。だが、2番は2日間でノーヒットと、つなぎは果たせていない。初対戦の投手に対する対応も見直す必要がある。嶋も「このような戦いをしていては本番では勝てない」と表情を引き締めた。

 課題と収穫を胸に、8日の開幕・韓国戦に向かう。指揮官は姿勢を正して言った。

 「韓国の左腕は非常にいい投手だと思う。相手投手のレベルによって、初回からバントだってある。札幌に行って、韓国を倒してきます」

 投手が最少失点で抑え、打線は少ない好機を生かす。日本の戦い方を見つめ直すには、最高の強化試合となった。 (倉橋 憲史)

 ▼中田(4回2死満塁で凡退など無安打)まだ完璧とは言えないけど、2試合でボールは見えたので良かった。

 ≪逆転サヨナラは初≫侍ジャパンが小久保監督就任後初のサヨナラ勝ち。プロの参加した日本代表でサヨナラ勝ちは、07年8月のプレ北京五輪チェコ戦で2―2の延長11回に大和(神)が中越え安打して以来。オールプロの代表戦では、04年8月のアテネ五輪台湾戦で3―3の10回に小笠原(日)が左犠飛を放って以来11年ぶり2度目で逆転サヨナラは初めて。

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