【武田翔太手記】「打者を見る」こと覚えた…いつか誰もが認めるエースに

[ 2015年10月30日 11:00 ]

<ヤ・ソ>笑顔を見せる(左から)武田、孫オーナー、内川、松田、バンデンハーク

SMBC日本シリーズ2015第5戦 ソフトバンク5-0ヤクルト

(10月29日 神宮)
 素直にうれしい。このシリーズは自分なりに仕事ができた。学んできたことを発揮できて、自信にもなるし、来年につながる。優秀選手賞も受賞できたし、1年に3度も胴上げができて最高のシーズンになった。

 今年は工藤監督や佐藤コーチから「打者を見る」ことを学んだ。このシリーズではヤクルトの打線がカーブのイメージを強く持っていたのを利用した。「低めを捨てているな」と感じ、真っすぐで攻めて4安打完投できた。高めのつり球が効果的で、捨てているカーブもストライクゾーンに投げれば相手は打たざるを得ない。去年までは勢いで行っていたけど、打者の反応を見ながら試合の中でモデルチェンジできるようになった。

 第2、3戦のことも考えて、内角を突いて相手の打撃を崩せればいいとも思っていた。シーズン中も同じ。自分の球筋の残像が、少しでもその後の試合に影響すればいいと思って投げた。

 新しい武器を手に入れたのも大きかった。変化球の投げ方を誰かに聞いたりすることはあまりないけど、今季は佐藤コーチが投げていた「ヨシボール」を教わった。カーブと似ている軌道で速く沈む「魔球」。覚えるのは難しかったけど、使いやすい球なので助かった。でも、まねだけで終わってはいけないと思っている。完璧にまねはできないし、新しいものをつくりたい。「ヨシボール」も自分流の球にできたと思っている。来年は高めの直球とカーブの高低差に加え、球種を増やし「横の幅」を広げようと考えている。スライダーを生かすため、ツーシームやシュートのように右打者に食い込む球を覚えたい。

 1日10キロ走ったことも自信につながった。登板日の試合後でも5キロは走り、走行距離をスマホで管理した。工藤監督からは「走りすぎ」と言われたけど。オフの自主トレには自分より若い人を連れて行くけど「つべこべ言わず毎日10キロ走ってみろ!」って言うつもり。まるで「武田陸上部」。みんな最後までついてこられるかな。満足せずにもっと、もっと成長したい。投手陣の柱になる自信がなければ、この世界には入っていない。毎年自覚は増している。いつか「エースは武田」だと誰からも認めてもらえるような投手になりたい。(福岡ソフトバンクホークス投手)

続きを表示

2015年10月30日のニュース