山田 悔し敢闘賞…2戦連続4の0「1試合だけ打っても意味ない」

[ 2015年10月30日 05:30 ]

<ヤ・ソ>6回無死、山田は三塁ゴロに倒れる。投手・スタンリッジ

SMBC日本シリーズ2015第5戦 ヤクルト0-5ソフトバンク

(10月29日 神宮)
 一塁側ベンチで最後の瞬間を迎えたヤクルト・山田は目を背けることなく、真っすぐに敵軍の歓喜の輪を見つめていた。

 「日本一になりたかったけど…。ソフトバンクが強すぎました」。1年間の激闘を終え、すがすがしい表情で振り返った。第3戦ではシリーズ史上初の1試合3本塁打を放ち、敢闘選手に選ばれた。日本一を逃したが、神宮球場は「山田哲人コール」に包まれる異様な雰囲気。ファンは23歳の存在の大きさを感じていた。

 第4戦に続き、この日も4打数無安打に終わった。0―0の3回1死一、二塁からはスタンリッジの9球目、真ん中のスライダーに空振り三振を喫した。最後の打席となった0―4の8回1死一塁では9球粘った。そして大飛球を放ったが、左翼フェンス手前で失速した。「1日で3本打ったりしたけど、1試合だけ打っても意味がない。コンスタントに毎試合打たないと。そういうのも経験できたのでよかった」。初の大舞台でかけがえのない財産を得た。

 試合前にOBで憧れのジャイアンツ・青木と談笑。「青木さんはやっぱり雰囲気が良い方ですよね」と笑顔で話していた。その青木の後を受け継ぎ、来季からは背番号「1」への変更が内定している。「23」でのラストゲーム。「悔しさは多少あります」と話したが「でもセ・リーグ優勝を目標にやってきた。それができたし、一年としては満足」と言い切った。

 昨季は日本人右打者最多の193安打。今季は史上初の本塁打王&盗塁王を獲得し、3割30本30盗塁の「トリプルスリー」も達成し、確実にスーパースターへの階段を駆け上る。「個人としても満足です」と晴れやかだった山田。この経験を生かし、さらなる成長を遂げる。 (町田 利衣)

 ≪チーム打率・182≫ヤクルトのシリーズチーム打率は・182。今季公式戦ではリーグ1位・257の強力打線も短期決戦では沈黙した。シリーズでチーム打率2割未満は15度目だが全て敗退となった。また、今シリーズの殊勲安打は第3戦山田の3本塁打(先制、勝ち越し、逆転)による3本だけ。シリーズで殊勲安打がチームで1人以下は7度目(05年阪神は唯一0人)。5人が殊勲安打を放ったソフトバンクに比べ、山田以外チャンスで結果を出せなかった。

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