バレ、6番“降格”なんの目覚めた2打点「キモチイイ!」

[ 2015年10月16日 05:30 ]

<ヤ・巨>6回1死満塁、中前適時打を放つバレンティン

セ・リーグCSファイナルS第2戦 ヤクルト4―0巨人

(10月15日 神宮)
 セ・リーグのクライマックスシリーズ(CS)ファイナルステージ(6試合制)は、ヤクルトが15日の第2戦に勝ち対戦成績を2勝1敗(アドバンテージの1勝を含む)とした。第1戦で巨人投手陣に封じ込まれたウラディミール・バレンティン外野手(31)が6番に下がり奮起の3安打2打点。山田哲人内野手(23)にも好機拡大の2安打が出た。14年ぶりリーグ優勝の原動力となった強力打線が目を覚ました。

 左太腿肉離れの手術から復帰してきた9月18日の今季1号アーチと同じように、マイコラスを叩いた。チームがレギュラーシーズンで3戦3敗を喫した難敵が、バレンティンにとっては目覚めの特効薬になる。2―0の6回1死満塁。初戦4打数無安打だった男のバットが、カーブを巧みに捉える。貴重な追加点を奪う中前2点適時打に、力強いガッツポーズだ。

 「キモチイイ。サイコーデス!!」

 4回の第2打席に左前打。「1本出たことで肩の力が抜けた」と2点打につなげ、8回には3安打目の左翼線二塁打を放った。打順は5番から6番に「降格」したが「先発メンバーに名を連ねていれば十分」と真しに受け止めた。守備では8回に立岡の飛球を見失って後逸するミスを犯したが、カバーした上田に三塁で刺してもらった。ツキまで味方してきた。

 今季はマイコラスからの一撃が唯一の本塁打。打率・186という深刻な不振を、CS初戦も引きずった。試合後、落ち込んでいるのではと心配した宮出打撃コーチに「練習通りにやれば絶対に打てる。気負いすぎるな」と励まされ「あすは打つよ」と明るく返した。

 しかし、頭の中は野球のことでいっぱいだったのか。クラブハウスで待っていたカーラ夫人と愛娘のミアちゃんを置いて1人で帰宅してしまう痛恨の「失策」。気付いた近藤通訳から電話が来たときにはすでに自宅付近まで行っており、最愛の家族は遅れて2人でタクシーに乗って帰宅する羽目になった。現役時代の巨人・長嶋が息子・一茂を球場に忘れて帰ったエピソードを思い出させるハプニングだった。

 手術明けの再来日は9月7日。太めの体に「2、3キロ増えたくらい。110キロだ」と言い張ったが、実はこのときの体重は114キロで、さばを読んでいた。60本塁打した13年は107~109キロを維持。ベストの状態に戻そうと、練習プラス食事の工夫で1カ月強で6キロ減らした。「激痩せだ。ボールが飛ばない」と冗談を飛ばして臨んだCS。アーチはなくても、3安打が復調の証だ。

 真中監督は「安打が一番の薬。つながりが出た」と喜び、杉村チーフ打撃コーチも「調子がよくないが、センター方向に打とうとする修正力がある」と評価した。頼もしさを取り戻した主砲は、もう二度とブレーキを踏まない。 (町田 利衣)

続きを表示

この記事のフォト

2015年10月16日のニュース