巨人・坂本 本塁ヘッスラ!走路「回り込む」より10センチの決断

[ 2015年10月13日 06:10 ]

<巨・神>6回1死一、三塁、阪神・岩田の暴投の間に梅野(右)のタッチをかいくぐり三走・坂本が生還

セ・リーグCSファーストS第3戦 巨人3-1阪神

(10月12日 東京D)
 一瞬でも迷えば、「暴走」になっていたかもしれない。貴重な3点目の生還。巨人・坂本は瞬時の判断で「10センチ」だけ走路を変え、本塁にヘッドスライディングした。

 「準備もしていた。積極的に行けた」。6回に中前打で好機を広げ、阿部の適時打でリードが2点に広がった。なお1死一、三塁で三塁走者が坂本。ベンチからは「ゴロゴー(打球が転がった時点でスタート)」のサインが出ていた。岩田の投球ごとに大きくリードオフし、2ボール2ストライクからの5球目のフォークが本塁の手前でワンバウンド。捕手の梅野がはじいた時点で迷いなくスタートを切った。

 だがボールは予想に反して大きくそれない。フェアグラウンドの一塁線付近、本塁から約3メートルの場所に落ちたボールを梅野がつかむ。その時点で坂本は全力疾走しているとはいえ、本塁まで10メートル以上の距離があった。ダイビングでタッチを試みてきた梅野を避けるため、ルールの「走路は白線から左右3フィート(91・4センチ)以内」のギリギリまで三塁ベンチ方向に膨らむことも考えた。だが「少しでもスピードを落とせばアウトになる」と判断。スピードを落とさず、タッチを避けるために膨らむ限界の幅が「10センチ」だった。飛ぶようなヘッドスライディング。梅野にタッチされるよりも先にベースを触った。原監督は「気合、魂は非常に大事」と評した。

 今季から主将を務めたがレギュラーシーズンは打率・269に終わった。この日は3番に戻ったが、第2戦では7番に降格していた。期するものがあったのだろう。13年から現職の川相ヘッドコーチが「3年見てるけどヘッドスライディングは初めてじゃない?」と目を丸くしたプレー。「好走塁と暴走は紙一重」と言われるが、坂本は判断力と勇気で好走塁にした。 (山田 忠範)

 ▼阪神・梅野(岩田の)ボールが体ではなく自分の手に当たった。一瞬、どこに行ったか分からなくて、見つけた瞬間にホームに行ったが、間に合わなかった。

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