栗山監督の秘策　有原　ＣＳ新人白星　１軍初リリーフで持ってる

＜日・ロ＞２回を無失点に抑えた有原

パ・リーグＣＳファーストＳ第２戦 日本ハム４－２ロッテ

（10月11日 札幌Ｄ）
　ルーキーが流れを変えた。１―２の７回だ。日本ハム・有原が３番手でマウンドに上がると、球場がどよめいた。５月に１軍昇格し先発として８勝を挙げたが、１軍でリリーフは初めて。「球場の雰囲気が凄くて、いつも以上にテンションが上がった。初球から全力で行こうと思った。テンポよく投げて、流れを何とか変えたかった」。迷いはなかった。

　先頭・荻野に５球連続の直球勝負で右飛に仕留めて勢いに乗った。「自分的には１イニングのつもりで投げた」。最速１５２キロを計測し３者凡退でベンチに戻ると、８回の続投も要請された。２死一塁から鈴木の大飛球は左翼手・矢野の好守に助けられたが、圧巻の２回無失点。この肝っ玉ルーキーの投球が、直後の打線爆発を呼び込んだ。

　「こっちに大きな流れをつくらないといけない中で、よく頑張って投げてくれた」。勝ち上がれば、ソフトバンクと激突する１４日のＣＳファイナルＳ第１戦（ヤフオクドーム）先発候補だった右腕を投入した栗山監督の秘策が見事に的中した。

　１日のロッテ戦（札幌ドーム）登板後に、ＣＳファーストＳで中継ぎ起用の可能性を伝えられた。宮崎フェニックス・リーグにリリーフとして１試合だけスポット参戦し、あとはぶっつけ。並のルーキーならば不安が先行するが「早大でも下級生はリリーフだった。（どの役割でも）投げるチャンスがあった方がいい」と頼もしかった。

　球団新人のポストシーズン勝利は東映時代の６２年安藤元博、０６年八木智哉に続き、球団史上３人目の快挙となった。有原は１２日の第３戦もブルペンでスタンバイする。「あすも勝たないといけない」。１５０キロの剛速球に、落差のあるフォーク。１メートル８９の巨体はまるで大魔神のように見えた。　（横市　勇）

　▼日本ハム・厚沢投手コーチ（有原の救援起用に）当然危ない要素はあるが、選手が伸びるポイントでもある。監督が腹をくくって有原が応えた。