昨年の再現だ!和田監督“最後の号令”「初回から行け!」

[ 2015年10月10日 05:30 ]

気合いの入った表情で東京ドームに乗り込んだ和田監督

セCSファーストステージ第1戦 阪神―巨人

(10月10日 東京D)
 10日に巨人とのクライマックスシリーズ(CS)ファーストステージ初戦に臨む阪神は9日、東京ドームでの全体練習で決戦に備えた。舞台も相手も同じだった昨年のファイナルステージは初戦の初回に3点を奪う快勝劇で一気に4連勝。和田豊監督(53)は昨秋の再現を掲げ、初回の先制攻撃を期した。既に今季限りで退任は発表済み。猛虎を4年間率いた将からの“最後の号令”だった。

 最後に振るうタクトに迷いはない。勝利の女神がほほ笑む瞬間を、1年前に同じ三塁ベンチから目撃した。分岐点は初回―と和田監督は確信していた。発した言葉も確信に満ちていた。

 「昨年は第1戦の初回にリズム、流れをこちらに持ってこれた。今回も少しでも早く持ってこれればね。初回の攻防がポイントになる」

 昨秋はファイナルステージで巨人を4連勝で撃破して日本シリーズ進出を決めた。記憶に新しい会心の進撃は初戦の初回から始まった。

 どんな攻撃だったか。先頭の西岡が左前打で出塁。上本は送りバントではなくバスターエンドランを敢行。積極的采配で1死二塁とした後、鳥谷が先制の中越え適時二塁打、ゴメスの左越え2ランが出た。内海から8球で3点を奪う電光石火の先制劇だった。

 昨秋は攻めの采配で苦手とされてきた短期決戦を制し、球団史上初めてCSを勝ち抜いた。「再現」を狙い、先制点を求めた。和田監督の「最後の指令」に選手も、それぞれの言葉で呼応した。

 今年は1番打者で挑む鳥谷は「先攻ですし、先に点を取ることができればいい形になる」とチャンスメークに徹することを宣言。シーズン中、幾度となく出塁した鳥谷を生還させてきた福留も「ビジターだし、先に攻撃できるのは、いい面もある」とうなずいた。

 持ち味の長打力で風穴をあけることを期待されるゴメスも「昨年はこの時期にすごく状態がよかった。今も悪くない。(昨年は2ランで)同じような活躍ができればいい」と自信満々だ。先発が予想される難敵・マイコラスに上位打線が一丸となって襲いかかる。

 和田監督が漂わせる空気は悲哀でも悲壮でもなかった。哀愁もない。「我々は守りに入るようなことはひとつもない。チャレンジャーとしてユニホームを着てプレーボールがかかった瞬間に集中してやる。2015年の集大成。シーズン終盤、ファンの方々には申し訳ないゲームを見せてしまった。1勝でも多く届けられるようにしたい。新たな気持ちで臨みたい」。4年間のすべてを出し切るには“伝統の一戦”は最高の舞台だ。まだ終わらない。「日本一」を置き土産に、タクトをしまうまで―。(遠藤 礼)

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