入団会見、投手デビュー…新天地で輝いたイチローの笑顔

[ 2015年10月8日 10:30 ]

マーリンズのイチロー(AP)

 メジャー最年長野手のマーリンズ・イチロー外野手(41)が、シーズン終了から2日後という異例のスピードで来季もマ軍でプレーすることが決まった。今季、新天地1年目を終えたベテランを語る上で欠かせないキーワードの1つは「笑顔」だろう。

 メジャー15年目で打率・229は自己ワースト。オリックス時代から日米通算21年連続で続いていた年間100安打もあと9本に迫ったところで途切れた。当然のようにシーズン200安打以上を期待されて応えてきた安打製造器にとって「目を疑うものでした」という今季の成績では笑顔は生まれないだろう。しかし、今季を振り返るとやはり笑顔のイチローが数多く思い出される。

 昨オフは初めて所属球団が決まらないまま年を越した。それでも、「やたらに熱い思いが伝わってきた」と契約を結んだマ軍の幹部がわざわざ来日して行った入団会見では、背番号51を披露する表情は晴れやかだった。チームに合流しても中堅手オズナや二塁手ゴードンら若手がレジェンドのイチローを慕って積極的に話しかけ、時には空気を読まない悪ノリに「尊敬されてるのか、ナメられてるのか」と言いつつも、「みんな可愛くてしようがない感じ」と優しく包み込んだ。そして、4日のフィリーズとの今季最終戦で8回からメジャー初登板。打たれたらマウンド上で悔しがり、1イニングを2安打1失点で乗り切ってベンチに戻ると、同僚に迎えられて笑顔がはじけた。これまでどれだけ安打を積み重ねてもグラウンド上で表情を崩すことは珍しかっただけに、グラウンド上でここまで感情が豊かなイチローの表情が強く印象に残った。

 「メジャー最強」とも言われたスタントン、オズナ、イエリチの外野手トリオをバックアップする「4番目の外野手」としての契約ながら、ふたを開けてみればチーム最多153試合の出場。それは試合前後に欠かさず行うストレッチやトレーニングの積み重ねによるものだ。常に試合への準備を怠らない姿勢が、若手が多いチームの模範になるとして来季の契約につながった1つの要因でもある。

 クラブハウスで行っているポールを使ったストレッチで1つ気になったことが、必ずTシャツを短パンに「イン」させていること。見よう見まねで米国滞在中にゲットしたストレッチポールを使ってみると、その理由が分かった。Tシャツを短パンの中に入れないと、腰、でん部などをストレッチする際にポールとTシャツが巻き込んでスムーズに行えないからだ。米国内を飛び回るタフな移動を強いられるメジャー担当にとって、体調管理には欠かせないものとなったストレッチポール。「イチ流」のメンテナンス術に感化されて帰国後もストレッチを続けているが、これだけでもあらためて毎日続けることの難しさを感じている。(東尾 洋樹)

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2015年10月8日のニュース