藤浪 G圧倒完封14勝!勝利球は“恩人”中村GMの遺族へ

[ 2015年9月29日 05:30 ]

<神・巨>力投する藤浪

セ・リーグ 阪神2―0巨人

(9月28日 甲子園)
 阪神は28日、巨人との最終戦に2―0で快勝。連敗を2で止め、勝率5割に復帰した。藤浪晋太郎投手(21)が8安打を浴びながらも要所を締め、初回の2点を守り切って今季4度目の完封。リーグトップタイの14勝目を挙げた。再戦が濃厚なクライマックスシリーズ(CS)ファーストステージも若きエースにお任せだ。

 優勝の可能性が消滅しても、やることは変わらない。虎党に笑顔を贈ることこそエースの使命。藤浪は、それを忠実に遂行した。満員に膨れあがった甲子園で、鮮やかな完封ショー。意地のG倒で、リーグトップタイとなる14勝目をつかんだ。

 「ウルトラ疲れましたね…。ホッとしたのが正直なところ。バテバテだったので、最後のアウトが取れてよかったです」

 2点リードの9回2死二、三塁のピンチを切り抜け、たどり着いたお立ち台。安堵の表情が浮かんだ。序盤は直球がシュート回転。それを「余計な力を抜いて」立て直した。6回までは危なげなくスコアボードにゼロを並べたが、7回以降は疲れの色も見え始める。シーズン27試合目。蓄積疲労が重くのしかかっても気力で払いのけた。8回2死一、二塁では、マウンドに来た和田監督から「勝負して行け」とハッパをかけられて、奮い立った。

 中村GMの急逝後、初の甲子園での一戦。快投を演じた藤浪はウイニングボールを和田監督へ贈った。そして、そのボールは29日、指揮官の夫人が中村GMの告別式に持参し、遺族へと手渡されることになっている。3年前のドラフトで自身を1位指名してくれた“恩人”へと贈る、何よりの手向けの品となるに違いない。

 「届けばいいですが、それは結果なので。意識せず、チームとして勝つことを考えたい」。この日で今季194投球回。200の大台も現実味を帯びてきた。勝利数、奪三振、勝率、完投数、完封数でリーグトップにも立った。だが、もとより個人記録に興味はない。

 「CSのことは意識しません。レギュラーシーズンの残り試合を、しっかり戦っていきたい」

 次戦は10月4日のシーズン最終戦、広島戦(甲子園)に先発予定。まずは目の前の試合に全力を尽くし、CSに向かう。ファーストSでは、この日と同じ巨人との対戦が濃厚。巨人戦シーズン4完投は、球団では79年の小林繁以来。巨人戦2完封も日本人投手では同年の小林繁以来となった。まだ戦いは終わっていない。逆転日本一へのキーマンは、間違いなく藤浪だ。(惟任 貴信)

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