楽天・安楽「こうな」との差感じつつ…1軍マウンドへ練習の日々

[ 2015年9月25日 08:10 ]

1軍のマウンドに立つその日に向け、練習精を出す楽天の安楽

 「現時点で“こうな”の方がいい。負けているのは事実だし、それを受け止めている」

 日焼けした顔で真っすぐ前を見つめ、そう話したのは楽天のドラフト1位・安楽智大投手(18)。残り11試合とシーズン終了が押し迫った中、1軍登板はまだない。

 一方、安楽が「こうな」と呼ぶ西武のドラフト1位・高橋光成投手(18)は、8月にプロ初登板を果たすと、この月4勝を挙げ、パ・リーグの月間MVPを獲得。高卒新人では99年7月の松坂大輔(西武)以来、3人目の快挙となった。24日現在で5勝を挙げている。高校時代は済美、前橋育英のエースとして互いに甲子園を沸かせ、2年時から高校日本代表入りし、注目を集めた2人。プロ1年目は大きく差を付けられてしまった。

 だが、安楽の顔に落胆の色は全くない。「自分に今、何が足りないか考えながらやっている」と現状を見つめ、2軍で鍛錬に励んでいる。イースタン・リーグでは19試合に登板し4勝1敗、防御率2・57。23日の同リーグ・西武戦(西武第2)では勝利投手にこそならなかったが、9回3安打無失点と好投。順調にレベルアップしている。

 自覚する最大の「足りないもの」は、球速だ。自己最速は157キロを誇るが、プロでは一度も150キロを超える球が投げられていない。高校2年の秋、右肘を痛めた影響でフォームの改造に着手。「自分の中でバランスが合ってない」と依然として納得のいくフォームが出来上がっていないという。「今まで腕を振って150キロ出ていた。それが10キロ弱、落ちている。スピードが全てではないが、僕の取り柄はスピード。何でだ、何でだと思う時もある」と胸の内を吐露する。右肘の故障は、安楽にとって野球人生で初めて味わった大きな挫折だった。

 苦しみ、もがく中、高橋光だけでなく同じ高卒入団の小野らチームのルーキーたちも続々と1軍の舞台を踏んだ。楽天の今季の新人7選手(育成を除く)で1軍出場がないのは、安楽だけとなった。「初めは何やってるんだろうと焦りは強かったですよ」と正直な心境を明かす。それでも金刃や横山徹ら先輩たちに「20年やるなら、今じゃない。2、3年後でも大丈夫」と励まされ、練習に精を出している。

 本音のところは、やはり「1軍に挑戦したい気持ちはある」。プロ野球選手なら誰もがその機会を狙っている。背番号「20」が1軍のマウンドに立つ日を、ファンも待ち望んでいる。(徳原 麗奈)

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2015年9月25日のニュース