内川の転機とは…横浜在籍時代に体験したソフトバンクの強さ

[ 2015年9月21日 10:00 ]

リーグ優勝を決め、号泣する内川

 ソフトバンクが9月17日にリーグ連覇を達成した。最後の守りで涙を流した内川の姿が印象的だった。今季から主将を任され、初めて4番も任された。工藤監督からは「おまえのチーム」と言われた。その重責を果たし、自然とあふれ出るものをこらえきれなかった。

 「4番として打たなきゃいけない。主将として勝たないといけない。それが大変だった」

 内川にとって「転機」となった相手こそが、ソフトバンクだった。今から5年前。横浜(現DeNA)に在籍した10年に交流戦で対戦し、横浜スタジアムから引き揚げる際、まるでカルチャーショックを受けたような表情を浮かべていた。

 「パ・リーグはどんどん強くなっている。投手は凄い球を投げるし、打者もスイングが凄い。パワーもある。右打者が逆方向の右中間に軽々と放り込むんですから」。当時、パは日本ハムにはダルビッシュ(現レンジャーズ)、楽天には岩隈(現マリナーズ)と田中(現ヤンキース)、ソフトバンクには和田(現カブス)や杉内(現巨人)らが在籍していた。そのエース級の投手たちと対戦する打者も育てられた。

 内川は08年に右打者最高打率・378をマークしていた。そんなセを代表する打者が、パとセのレベルの差を痛感したのだから驚きだった。その目は輝いてもいた。同年オフ、ソフトバンクにFA移籍した。大分県出身。移籍した理由は地元・九州の球団というだけではない。強い球団で優勝を経験してみたい。さらに、交流戦で強さを見せつけられたパで野球がしてみたかったのだ。ダルビッシュや田中がレベルの高いメジャーに移籍したのと同じである。「井の中の蛙」でいたら、ここまでのレベルアップはできなかっただろう。

 今季の交流戦でも、パはセに61勝44敗3分けで大きく勝ち越した。今季は18試合制。24試合制だった10、11、13年にはパはいずれも20以上も勝ち越している。リーグ戦再開後、セは交流戦の影響が色濃く出てしまった。突出したチームがないことも重なり、史上初めて全チーム貯金なし、さらに全チームオール借金の事態に陥った。そして現在の大混戦に至る。

 「パ・リーグはパワーが違う。うちが言うんだから間違いない」。3勝14敗1分けで、交流戦史上最低勝率(・176)を記録したDeNAの中畑監督は、パとセの力の差を素直に認める。くしくも、DeNAの前身である横浜に在籍していたのが、内川だった。その男がパの最強軍団を引っ張っている。(飯塚 荒太)

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2015年9月21日のニュース