西武・西口が引退 完全含むノーヒッター3度逃し“記憶に残った男”

[ 2015年9月19日 06:30 ]

15年5月28日、今季唯一の登板となった巨人戦で力投する西口

 通算182勝をマークしている西武・西口文也投手(42)が、今季限りで現役を引退することが18日、明らかになった。近日中に正式発表される。入団2年目の96年から7年連続2桁勝利を挙げるなど、西武一筋の大ベテラン。しかしプロ21年目の今季の1軍登板は1試合のみで、白星からも3シーズン遠ざかっている。節目の200勝まで残り18勝だが、ついにユニホームを脱ぐ決断を下した。

 数々の輝かしい記録と忘れえぬ記憶とともに、西口がそのキャリアにピリオドを打つ。42歳の大ベテランは、この日までに球団、関係者らに今季限りでの引退の意向を伝えた。「レジェンド右腕」は12年6月23日のオリックス戦(西武ドーム)での通算182勝目を最後に、白星から遠ざかったままマウンドを去ることになった。

 13、14年は1軍で未勝利。背水の覚悟で臨んだ今季も、大半が2軍暮らしだった。それでも2軍ではローテーションに入り16試合で4勝1敗1セーブ、防御率2・95。若手選手とともに熱心に練習を続け、2軍首脳陣の間では「ここ数年で一番、状態がいいのでは」との声もあった。しかし1軍登板は5月28日の巨人戦(東京ドーム)の1試合のみ。42歳という年齢とも闘いながら節目の200勝までは残り18勝と迫っていた。しかし最後は熟慮のすえに「引退」を決断した。

 立正大から94年ドラフト3位で西武に入団。切れ味抜群のスライダーを武器に96年から7年連続2桁勝利。5度の開幕投手を務めた。97年には沢村賞、MVP、最多勝などタイトルを総なめにした。記録とともに球史に名前を刻んだのが、3度にわたる「幻のノーヒットノーラン」だ。02年8月26日のロッテ戦(西武ドーム)は、無安打に抑えていた9回2死から小坂に中前打。05年5月13日の巨人戦(インボイス)でも、同じく9回2死で清水にソロ本塁打を浴びて快挙を逃した。05年8月27日の楽天戦(インボイス)は9回まで打者27人をパーフェクトに抑えながら、味方打線も無得点で延長戦に突入。延長10回に沖原に初安打を許した。「まあ、(試合に)勝ったんでね。僕には縁がないということで」と話したが、ファンの脳裏に深く刻み込まれた伝説の3試合でもある。

 1メートル82、75キロと細身の体で、東尾、工藤、渡辺ら黄金期を支えた投手陣が抜けたチームを支えた。後輩・松坂が大リーグ移籍後も若い投手陣を背中で引っ張ってきた。21年間の野球人生を駆け抜けた功労者の引退。今後は何らかの形でセレモニーなども行われる見込みだ。生え抜きで輝かしい実績を残した右腕は、将来の監督候補として投手コーチなどで入閣する可能性もある。

 今季は中日・和田、オリックス・谷も引退。「(昭和)47年会」の一員で、同じ72年度生まれで同学年の西口も時を同じくしてユニホームを脱ぐ。

 ◆西口 文也(にしぐち・ふみや)1972年(昭47)9月26日、和歌山県生まれの42歳。県和歌山商では甲子園出場なし。立正大を経て94年ドラフト3位で西武に入団。3年目の97年には15勝を挙げ最多勝、沢村賞、MVP、最多奪三振、最高勝率のタイトルを獲得。98年にも最多勝、最多奪三振。ベストナイン2度、ゴールデングラブ3度。通算成績は435試合で182勝118敗6セーブ、防御率3・73。1メートル82、75キロ。右投げ右打ち。

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