ソフトB強さのワケ 工藤流“最適”オーダー 勝利数球団新へ

[ 2015年9月14日 09:00 ]

対戦投手や選手の調子に応じて「最適」なオーダーを選択しているソフトバンク・工藤監督(右)

 リーグ連覇はもう目前だ。ソフトバンクが13日に楽天を下し、優勝へのマジックナンバーを2とした。その前のカードでは2位・日本ハム相手に3連勝。10日にリーグトップ13勝の大谷翔平から7得点した試合後、工藤公康監督(52)は「クライマックスシリーズでも攻略できるようにという意識でやってくれた」と満足げに話していた。

 13日終了時点で83勝37敗4分け。最短優勝日は15日で、最終的な「勝ちっぷり」にも注目が集まる。残り19試合でいったいどこまで白星の数を伸ばすのか?1955年の球団記録である99勝はさすがに難しいが「ソフトバンク新記録」の可能性は大だ。

 2005年に球団名がソフトバンクとなって11季目だが、その間のシーズン最多勝利数は初年度の05年だった。当時、王貞治監督(75、現球団会長)が率いたチームは前年オフにメジャー214発のトニー・バティスタらを獲得。飛ぶ鳥を落とす勢いで成長する本社の豊富な資金力をバックに大型補強を敢行し、89勝を積み上げた。

 工藤新監督を迎える昨オフも松坂大輔を獲得するなど補強したが、故障で1軍公式戦での出番はなし。それでも13日現在で貯金46と圧倒的な強さを誇っている。05年の王ホークス、今季の工藤ホークスを比較すると、監督の方法論に違いがあるように思う。例えば選手起用だ。

 スタメンオーダーは05年が69通り。王監督はスタメンを変更することをあまり好まなかった。これに対して、今季のオーダーは94通り(13日時点)を数える。「最強」のオーダーを理想としたのが「王流」だとすれば、対戦投手や選手の調子に応じて「最適」なオーダーを選択しているが「工藤流」と言えるだろう。

 工藤カラーが出ている点が他にもある。今季は内、外野両方でスタメン出場した選手が、吉村裕基、川島慶三、中村晃と3選手いる。05年はホルベルト・カブレラの1人だけだった。内野手登録の牧原大成にいたっては先発出場は外野だけ。2月の宮崎キャンプから育成に力を入れたユーティリティープレーヤーが多く、多様なスタメンの組み合わせが可能になっている。

 優勝決定後のモチベーション低下、そんな心配も多彩なオーダーが取り除いてくれそうだ。消化試合も選手たちにとってはクライマックス・シリーズ、その先にある日本シリーズの出番を増やす大事なアピールの場になるからだ。「王超え」を果たし90勝台に乗せれば56年の96勝以来、球団59年ぶりの快挙となる。(森 寛一)

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