阪神 痛恨ミス…重盗狙われ「ピッチャーカット」のはずがよけちゃった

[ 2015年9月14日 05:30 ]

<神・広>6回2死一、三塁、一塁走者・エルドレッドが二盗を試み、鶴岡は送球、高宮がカットすべきもボールは二塁へ…

セ・リーグ 阪神0-3広島

(9月13日 甲子園)
 黒星に、赤っ恥の上塗りだ。阪神は0―1の6回の守りで、2死一、三塁から広島に仕掛けられた重盗への対応で高宮和也投手(33)が信じられないミスを犯して1点を献上し、試合の流れを手放した。打線も今季15度目の零敗を喫し、わずか1日で2位に転落。3位・巨人とのゲーム差も無くなった。8日からの巨人、広島との「運命の甲子園1週間」は1勝3敗1分け(中止1)で終えた。

 プロにあるまじき光景が繰り広げられた。1点ビハインドの6回に初歩的なミスから1失点。敗戦後、前田健の出来を問われたはずの和田監督も開口一番、糾弾したほどの拙いプレーだった。

 「きょうはね、2点目を何とか防がないといけなかった。マエケンの調子から言うとね。守る方も攻撃の方も、やるべきことができなかった」

 6回2死一、三塁、マウンドには高宮。今季すでに2度も広島に本盗を決められている阪神ベンチは当然、“足攻”を警戒していた。「(一塁走者がスタートを切った場合は)そう(ピッチャーカット)いうこと。明らかにやってくる場面やったからね」。堂林を打席に迎える直前には中西投手コーチがベンチの指示を伝えるためマウンドへ向かっていた。それでもサインどおりに動いてくれなかった。指揮官も、首をひねるしかない。

 「それ(理由)は本人(高宮)に聞いてみないと。頭では分かっていたんだろうけど体が反応できなかったんだろう。それか、投げた瞬間に一瞬、飛んでしまったのか」

 想定どおり、平行カウントの2―2から広島ベンチは動いた。一塁走者のエルドレッドがスタート。捕手・鶴岡は投手が捕球できる高さに、低く送球した。「ピッチャーカット」のサインでは、ここで投手が送球をカットして三塁走者の動きをけん制する。ところが高宮は一瞬、しゃがんだ。そして思い直したかのようにグラブを差し出したが、時すでに遅し。ボールは二塁カバーに入った鳥谷の元へ。二塁送球が投手を通過した時点でスタートを切った三塁走者の菊池は、本塁を陥れていた。挟殺狙いでスピードを緩めていたエルドレッドが結果的にアウトになったため、公式記録は重盗ではなく「送球間の進塁」ながら、まんまと本塁を盗まれた格好。マエケン相手の2失点目は、致命傷と言えた。

 高宮は「体勢が崩れて反応が遅れた。僕のミス。言われていたし、頭では分かっていたけど、捕れなかった」と言葉を絞り出した。しかし中西投手コーチは「そういう問題じゃない」と一刀両断した。9月2日の同戦でも一、三塁から本盗を決められて同点とされており、短期間で同じミスを繰り返したに等しい。

 たった1日で2位転落。3位・巨人とはゲーム差が無くなり、勝率はわずか2毛差。4位・広島とも2・5差となった。残り15試合。みすみす転落していく事態だけは避けなければならない。 (惟任 貴信)

 ★阪神、9月2日広島戦の許本盗 1―0の4回2死一、三塁。カウント2―2から一塁走者・鈴木誠への岩田のけん制球が高く浮いたスキを突いて、三塁走者の新井が本塁へスタートする(鈴木誠は一塁に帰塁)。一塁手のゴメスが伸び上がって捕球後、無理な体勢から本塁へ送球も力のない2バウンドになる。新井は捕手・梅野のタッチをかいくぐり、左手でホームに触れて生還。同点に追い付かれた。

 ≪送球間の得点≫阪神は6回、エルドレッドの二盗を阻止する間に、三塁走者・菊池の本塁生還を許した。重盗が成立しなかったため、菊池は本盗ではなく「送球間の得点」となった。仮に重盗が成立、菊池に本盗がついていれば、広島戦では5月10日5回の田中、9月2日4回の新井に続く今季3度目。同じ球団から3度は67年巨人戦の3度以来48年ぶりの屈辱となるところだった。

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2015年9月14日のニュース