ライアン小川 “因縁の金沢”でG斬り 伊藤コーチ「やり返して」に応えた

[ 2015年9月3日 05:30 ]

<巨・ヤ>力強い投球で10勝目を挙げた小川

セ・リーグ ヤクルト5-3巨人

(9月2日 金沢)
 3点リードの6回1死満塁。ヤクルト・小川は初球のシュートで村田を遊ゴロ併殺に打ち取り、気迫みなぎる表情で三塁側ベンチに引き揚げた。「攻めるしかないと思った。腕が振れてよかった」。7回3失点で2桁勝利に到達すると、ようやく表情を緩めた。

 「うれしいです。通過点ですけど、10勝できてよかったです」。初回に坂本から2ランを浴び、8月12日広島戦(マツダ)から続いていた連続自責ゼロは24回1/3で途切れた。しかし、これで崩れない。2回以降も毎回走者を許しながら、7回のアンダーソンのソロによる1失点。狭く慣れない地方球場でも粘りの投球を見せた。

 2桁勝利は2度目だが、重みは違った。新人だった13年、16勝で最多勝と新人王に輝いたが「苦労をしていない」とただ真っすぐに突き進んでいたルーキーイヤーを振り返る。昨季は開幕投手を任されながら右手のひらの骨折による離脱などで9勝。今季も開幕投手を務めてエース級の投手と対戦する中で白星を積み重ねた。5月以降は6戦勝ちなしと苦しむも、課題のテンポやクイックを改善するなどよみがえった。「先発の1人目として勝つのが難しくなる中で、今後も1勝ずつ積み重ねていきたい」。自身6連勝に、確実な手応えをつかんでいる。

 人生初の金沢。そこは93年、新人だった伊藤智仁(現1軍投手コーチ)が9回2死まで16三振を奪いながら巨人・篠塚にサヨナラ本塁打を浴びた因縁の場所でもある。映像などで見たことがあったという小川は試合前、伊藤コーチから「やり返してくれよ」と声を掛けられた。3歳だった少年がエースとなり、大事な一戦をものにした。伊藤コーチも「22年ぶりのリベンジを選手がしてくれたね」と感慨深げな表情を浮かべた。ヒーローインタビューを受けた小川は「金沢が好きになりました」と照れ笑いした。

 巨人、阪神、また巨人と続いた7試合を6勝1敗と大きく勝ち越し、真中監督は「最終的にこの7試合が大きかったと言えるようなシーズンにしたい」と言った。ついに首位の阪神とはゲーム差なし。3日は試合がないが、阪神が敗れれば単独首位に浮上する。残り22試合。まだまだ大混戦のセ・リーグだが、昨季最下位チームに優勝の足音が近づいてきた。 (町田 利衣)

 ▼ヤクルト・高津投手コーチ(小川について)前半はもたついたが、一番大事なところで上がってきている。この状況で計算できて頼もしく思っている。

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